1988 Fiscal Year Annual Research Report
ストロマ細胞依存性、B前駆細胞の増殖分化機構に関する研究
Project/Area Number |
63480172
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西川 伸一 熊本大学, 医学部, 教授 (60127115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 峰太郎 熊本大学, 医学部, 助手 (70194454)
国貞 隆弘 熊本大学, 医学部, 講師 (30205108)
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Keywords | ストロマ細胞 / B細胞分化 / 幹細胞 / エレヌ |
Research Abstract |
63年度の計画では、我々が樹立したストロマ細胞ST2の能力を成熟骨髄細胞及び胎児造血組織をこの細胞株上で培養することにより検定することが主なものであった。この点では、当初の計画以上の成果が得られ、その内の一部は63年度にすでに学会誌に報告した。特に、「胎児発生においてすべての血液細胞は卵黄嚢で同時に出現してくる」と言う従来の定説に対して、Bリンパ球前駆細胞は胎児臓器内で発生してくることを示せたことは、ストロマ細胞を使った培養系が造血機構の研究にとって今後最も重要な方法の一つとなることを意味し、意義が深い。また、理研の中内博士、自治医大の須田博士との共同実験を行い、IL3を増殖因子として形成させた芽球コロニーをST2上に移して培養すると、約10%の確率でBリンパ球とともに多核白血球や、マクロファージ、マスト細胞が同時に出現することを明らかにした。これによってストロマ細胞株ST2が多能性幹細胞からリンパ球を含む多様な血液細胞の分化を支持できることが明確に示されるとともに、単一幹細胞からリンパ球への分化が初めてin vitoroにおいて再現できたことになる(現在論文投稿中。)この様に、ST2株の能力及び有用性が明らかにされてきたので、次ぎにストロマ細胞株の造血支持能力に関かわる分子について研究する目的で、いくつかのストロマ細胞株の造血支持機能について調べ、東北歯科大学の小玉博明博士によってすでに樹立されていた細胞株PA6が、B細胞分子誘導能の全く欠けているストロマ細胞株であることを見いだした。この二つのストロマ細胞の機能の差を追及する過程でストロマ細胞依存性のB細胞分化に必須不可欠な分子の一つとしてIL7が機能していることを見出だした。これによりB細胞分化をプロB、未熟プレBそれ以降の分化段階と分けて研究することが可能になり、分化決定機構研究を大きく前進させたと自負している。
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[Publications] 小川峰太郎: The EMBO Journa. 7. 1337-1342 (1988)
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[Publications] 桂義元: European Journal of Immunology. 18. 889-895 (1988)
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[Publications] 西川伸一: European Journal of Immunology. 18. 1767-1771 (1988)
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[Publications] 岡崎賢二: Journal of Immunology. 141. 1348-1352 (1988)
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[Publications] 小川峰太郎: Leukemia. 3. (1989)
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[Publications] 須藤哲夫: 1989.
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[Publications] 高津聖志: "Role of T cell replacing factor (TRF)/inteleukin 5(IL5)in the B cell growth and differentiation in "B cell development"" Alan R Liss, Inc., 173-187 (1988)
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[Publications] 西川伸一: "Defect of scid mouse revealed in vitro culture system in ゛Current Topics in Microbiology and Immunology″" Spriger Verag, (1989)