1988 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスによるメタロチオネイン生合成の誘導とそれを指標したストレスの評価
Project/Area Number |
63480173
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小島 豊 北海道大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (50135555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (80161727)
新岡 正 北海道大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (20123953)
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Keywords | ストレス / メタロチオネイン / 重金属結合蛋白質 / 亜鉛代謝 / 高速液体 / クロマトグラフ / イソ蛋白質 / 心理的ストレス / ストレスの指標 |
Research Abstract |
1.目的ーー一重金属結合蛋白質であるメタロチオネインは、重金属によって誘導され、有毒金属の解毒、生体必須金属の代謝に重要な役割を果たしていることが解明された。しかし、ストレス負荷状態において臓器中に誘導されるメタロチオネインについて、その同定、性状、生理的意義に関しては、ほとんど研究がなされていなかった。 1.本研究では、ヒトを取り巻く環境中の種々の刺載による、身体的、心理的ストレス状態において生合成されるメタロチオネインの性質、イソ蛋白組成、分布および組織中含有量の変動から、その生理的役割を解明し、さらに、組織中含有量を指標として、ストレス反応量の評価を行うことを目的とした。また、メタロチオネインのモノクローナル抗体を利用して、血中・尿中のメタロチオネイン含有量の測定により、生体のストレスを他覚的に高精度で評価する方法を開発する。 2.現在までに得られた研究成果ーー (1)種々のストレス条件におかれたラットの肝臓中より、ストレスによって誘導された蛋白質を分画、精製し、その諸性質や、高速液体クロマトグラフ(HPLC)のパターンより、亜鉛メタロチオネインと同定した。 (2)電撃(尾部刺載)、電撃(格子床)、拘束、寒冷および拘束水漬などのストレスによって、肝の亜鉛メタロチオネインは、対照群の、8.5〜2.0倍に増加した。 (3)騒音や振動曝露条件のあるものでも、増加が認められた。 (4)上記のストレスによって誘導された亜鉛メタロチオネインの、イソ蛋白組成を、高速液体クロマトグラフィーを用いて、測定した。 (5)ラット・メタロチオネインのモノクローナル抗体が得られた。 3.今後の方針ーー目的の後半に述べた、ストレス反応量の評価を、メタロチオネイン抗体を用いて、血液・尿で測定する方法を確立したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 新岡正 他: 日本衛生学雑誌. 43. 244 (1988)
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[Publications] 佐藤伸 他: 日本衛生学雑誌. 44. (1989)
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[Publications] Niioka,T. 他: Abstracts,14th International Congress of Biochemistry July 10-15,1988,Prague,Czechoslovakia. TH-104 (1988)
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[Publications] Niioka,T. 他: Abstracts,Second Meeting of the International Society for Trace Element Research in Humans(ISTERH)Aug.28-Sept.1,1989,Tokyo,Japan. (1989)
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[Publications] Sato,S, 他: Abstracts,Second Meeting of the Internatiol Society for Trace Element Research in Humans(ISTERH)Aug.28-Sept.1,1989,Tokyo,Japan. (1989)
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[Publications] Kojima,Y: 日本科学協力事業セミナー 「生物学・医学におけるメタロチオネイン」 1989年12月13-15日、Honolulu,Hawaii,U.S.A.(1990)