1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480175
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石西 伸 九州大学, 医学部, 教授 (80037340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 医学部, 助手 (30156674)
田中 昭代 九州大学, 医学部, 助手 (10136484)
久永 明 九州大学, 医学部, 講師 (20128078)
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Keywords | 金属ニッケル / 金属マンガン / ヒ化セレン / 発がん性 / 動物実験 |
Research Abstract |
雄性シリアンゴ-ルデンハムスタ-を用いて1回投与量として金属ニッケル(Ni)0.5mg/匹、金属ニッケル(Ni)+金属マンガン(Mn)0.5mg(Ni)+0.5mg(Mn)/匹、ヒ化セレン(As_2Se_3)0.5mgAs/匹を週1回、15週間にわたって連続気管内投与を行った。その後、ハムスタ-は無処置で放置し、生涯観察を行っている。死亡したハムスタ-については呼吸器官および主要臓器について光顕・電顕レベルで病理学的に検索を行った。15回投与終了後の各群の生存数は対照群29/30匹、Ni群27/30匹、Ni+Mn群27/30匹、As_2Se_3群27/30匹であり、各群間で生存率に関し有意な差は観察されず、投与物質による急性毒性は認められなかった。注入期間中に死亡した各群のハムスタ-の肺の走査電子顕微鏡による観察では細気管支の線毛上皮および非線毛上皮の著変は認められず、線毛の短縮化も観察されなかった。しかし、肺胞領域においては対照群を除いた金属投与群で微細な粉塵の沈着が観察され、軽度のマクロファ-ジの遊走が観察された。更に、肺胞洗浄液より肺胞マクロファ-ジを採取し、走査電子顕微鏡による観察では著明な形態学的な変化は認められず、投与初期の段階でのマクロファ-ジの活性化は軽度だと考えられた。 投与開始1年後の各群の生存数は対照群14/30匹、Ni群9/30匹、Ni+Mn群17/30匹、As_2Se_3群20/30匹であり、Ni群において生存率の減少が観察されたが、Ni+Mn群では他の群に比べ著明な減少は認められず、MnのNiの毒性に対する緩衝作用が推察された。肉眼的観察では腫瘍の発生は認められず、現在経過観察中である。
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