1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480175
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石西 昇 九州大学, 医学部, 教授 (80037340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 医学部, 助手 (30156674)
田中 昭代 九州大学, 医学部, 助手 (10136484)
久永 明 九州大学, 医学部, 講師 (20128078)
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Keywords | 金属ニッケル / 金属マンガン / 砒化セレン / 発がん性 / 動物実験 |
Research Abstract |
1)前年度に引き続き、金属ニッケル(Ni),金属マンガン(Mn),砒化セレン(As_2Se_3)粒子を気管内に投与したハムスタ-に関して観察を行った。観察期間内に死亡したハムスタ-は剖検後10%ホルマリン溶液で肺を中心とした主要臓器の固定を行ない、常法により病理標本を作製した。さらに走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行なうために1%グルタ-ルアルデヒド溶液をハムスタ-の気管内へ注入し、肺の潅流固定を行ない試料を作製した。投与開始より22カ月後の各群の生存数は対照群6/30匹,Ni群2/30匹,ni+Mn群2/30匹,As_2Se_3群2/30匹であった。kaplanーMeier法により各群の生存率の差を生存期間毎に検定した場合,Ni群とNi+Mn群との間で投与開始1年以降に5%レベルで有意な差が認められ,Ni+Mn群に比べてNi群の生存率が低下し、Mn投与による生存率の向が示唆された。しかし、対照群と各実験群との間には生存率に関して有意な差は認められなかった。現在までの観察で肉眼的には各群で呼吸器官の腫瘍の発生はなく、現在経過観察中である。また、SEMによる観察では、各実験群で投与した金属の微細な粒子が肺胞領域に沈着し、リンパ球や肺胞マクロファ-ジの浸潤や線維素の折出が認められた。 2)上記の実験で用いた金属化合物以外の金属化合物の肺に対する障害を比較検討するために、三酸化砒素(As_2O_3),酸化クロム(Cr_2O_3),酸化ニッケル(NiO)を上記実験と同様にハムスタ-の気管内に15回投与し、生涯観察を行っている。各群30匹の雄性のハムスタ-で構成され、投与量は各金属当り3、75mgである。投与開始から1年目までの観察ではCr_2O_3群で対照群に比べて生存率の低下傾向が観察されたが、他の群では著明な変化は認められなかった。現在経過観察中であり、肉眼的観察では各群で呼吸器官の腫瘍の発生はなく、今後病理所見について組織学的検索を行う予定である。
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Research Products
(1 results)