1989 Fiscal Year Annual Research Report
成人双生児を対象にしたB型肝炎ウイルスの垂直・水平感染の研究
Project/Area Number |
63480185
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
清水 忠彦 近畿大学, 医学部・公衆衛生学, 教授 (00088519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由良 晶子 近畿大学, 医学部・公衆衛生学, 助手 (80142595)
三戸 秀樹 近畿大学, 医学部・公衆衛生学, 講師 (00101402)
早川 和生 近畿大学, 医学部・公衆衛生学, 講師 (70142594)
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Keywords | 双生児 / B型肝炎 / 感染様式 |
Research Abstract |
本年度は調査対象数を拡大、とくに年齢層を青年期にまで拡大したこと、感染様式を年齢階層別に明かにしたこと、感染様式によって感染既往者の肝機能検査所見に差異を認めたことの3点の成果を得た。 すなわち、1)青、壮年層の双生児を対象に総合検診を春期(3月〜4月)および秋期(9月〜10月)に実施し、計70名(34名、36名)が受検した。2)対象者を把握するために、新聞折込み計198950枚を大阪府下に配布、新たに151組の双生児の調査協力者を得た。これらについて健康状態等に関する郵送・自記式質問紙調査を実施した。3)本研究の手法にもとずいて感染様式を年齢層別に推定した場合、60歳を境にして画然とした差がみられた。すなわち50歳台は母児(垂直)感染が半数またはそれ以上で、感染既往者(HBc抗体陽性者)のうち母児感染の占める割合が50〜54歳68.9%、55〜59歳52.2%であった。これに対して60歳以上は大部分が水平感染で、感染既往者のうち水平感染の占める割合が60〜64歳90.0%、64歳以上80.7%であった。このことは、わが国では現在の高年齢層が過ごした時期にB型肝炎ウイルスが一斎にまん延し、その感染者が次代に母児感染をもたらしたのではないかと考えられる。4)双生児双方が感染した群(双方HBc抗体陽性群)と、片方だけが感染した群(片方のみHBc抗体陽性群)とについて、肝機能検査成績を比較した。検査したもののうちとくに差がみられたのはγーGTP値で、40mu/ml以上のものの割合が双方陽性群25.0%、片方陽性群の感染既往者12.5%であった。この傾向は飲酒別にみても認められた。双方陽性群は母児感染者を多く含むこと、γーGTPは肝炎慢性化の指標とされていることから、感染様式による予後の差を示唆する現象と思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 早川和生,由良晶子,堀川隆志,大城治: "中高年齢に達した双生児を用いた身体生理的老化現象と生活行動要因の検討" デサント・スポ-ツ科学. 10. 40-46 (1989)
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[Publications] 大木秀一,浅香昭雄,早川和生,清水忠彦: "質問紙法による双生児の卵性診断" 民族衛生. 55. 227-235 (1989)
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[Publications] 早川和生,清水忠彦,大城治,大国美智子他: "中高年双生児における血液像の検討" 日本衛生学雑誌. 44. 494 (1989)
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[Publications] Hayakawa.K,Shimizu.T,Oshiro.O: "Intrapir differenes of blood pressure levels and personality in adult identical twins" Acta Genetica Medicae et Gemellologiae. 38. 224 (1989)
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[Publications] 大城治,早川和生,三戸秀樹,由良晶子: "双生児の健康状況ー全年齢層についてのアンケ-ト調査成績ー" 日本公衆衛生雑誌. 36. 141 (1989)
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[Publications] 早川和生,清水忠彦: "「双生児研究」in「ライフスタイルと健康」" 医学書院, (1990)