1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480186
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
柏村 征一 福岡大学, 医学部, 教授 (70004710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稗田 洋子 福岡大学, 医学部, 助手 (00181058)
原 健二 福岡大学, 医学部, 助手 (00090738)
影浦 光義 福岡大学, 医学部, 助教授 (40037594)
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Keywords | アナフィラキシーショック / ショック死 / 死体血液 / ヒスタミン / 脱顆粒反応 / 死後変化 |
Research Abstract |
ショック死を死体から証明する一手段として、ショックメディエーターの主役であるヒスタミンの血液や臓器中からの定量を試みた。死後血液は溶血および凝血がおこり、生前の様な血漿や血清が分離できない為夾雑成分の多い全血から分析を行わざるを得ず、まず死体血および臓器からの高速液体クロマトグラフィーによる定量法を確立した。試料の前処理は、最近報告されている血清試料等からの抽出に比較するとはるかに煩雑で時間を要し、除蛋白、抽出、陽イオン交換体による精製、濃縮、濾過という操作を行うことにより、はじめて妨害ピークの影響なく分析できる結果が得られた。本法によりヒトの生存血および死体血を定量した結果、死体血は生存血に比較して定量値に幅があり、死因や死体の保存状態あるいは死後経過時間等との密接な関わりが示唆され、今後より多くのショック死症例を含め、例数を増やしさらに検討を続けていく予定である。一方アナフィラキシーショック死死体モデルの検討を行った。従来報告されている感作免疫法による方法により、また薬物は古くから多くのショック死が報告されている抗生物質ペニシリンを使って行った。その結果モルモットではショックはほぼ確実に誘発されるものの、死亡に至る激しいショックを誘発できた割合が約2割程度と非常に低かった。また死後の状態を研究していく上で死体からの試料採取がし易い動物が望ましく、ウサギについても感作を行ってみたが、全くショックが誘発できず、動物のショック死死体モデルの根本的な検討を急ぐ必要があると考えられる。ショック死したモルモットの血液については、ラットの肥満細胞を使って脱顆粒反応を観察し、死亡直後に分離した血清では脱顆粒が認められるが、全血では顕鏡の際の妨害物質が多く観察がしにくく、視野を良くする為には、血液を何らかの処理を施す必要があり、さらに検討を続けていく予定である。
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