1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480186
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
柏村 征一 福岡大学, 医学部, 教授 (70004710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稗田 洋子 福岡大学, 医学部, 助手 (00181058)
原 健二 福岡大学, 医学部, 助手 (00090738)
影浦 光義 福岡大学, 医学部, 助教授 (40037594)
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Keywords | アナフィラキシ-ショック / ショック死 / 死体血 / ヒスタミン / 死後変化 |
Research Abstract |
ショックメディエ-タ-の主役として知られるヒスタミン(HA)及びその代謝物と一つである1ーメチルヒスタミン(MHA)レベルを解剖血について測定を行ったところ、生存血中のそれらと比較すると、定量値の分布にかなりの幅があることが判明した。これらは死因や死後経過時間、あるいは解剖時までの死体の保存状態等が相互に密接に関わってくる問題であり、そのメカニズムや結果の解釈は非常に難しい部分である。今回は死後経過時間にのみ焦点を絞った動物実験を行った。実験は致死量のHAあるいは対照として致死量のペントバルビタ-ル(PB)を静注し、死後経時的に血液を採取し、そのHA及びMHAレベルを定量することにより検討を行った。動物は当初モルモットを使用してみたが、死後の経時的採血が不可能であった為、犬を使用してみたところ、少量ずつではあるが、同一動物から死後3日まで採血が可能であった。犬はPB麻酔下、大腿静脈にカニュ-レを挿入し、薬物投与並びに採血を行った。HA6mg/kgあるいはPB50mg/kgを追加投与すると直ちに血圧が低下し、約3ー5分以内に死に至った。HAを投与した動物のHAレベルは死後減少していくが、死後24時間経過すると増加現象がみられた。MHAレベルは死後かなり増加が認められ、死後24時間以降減少がみられた。一方、PBを注入した動物では、PB投与によるHAレベルの変動は認められないが、死後24時間以降急激な増加現象がみられ、MHAレベルは死後3日まで全く変動が認められなかった。また死亡時に採血した血液を試験管内で死後3日間室温放置したところ、HA及びMHAレベルの変動はみられなかった。以上の結果から上記の変動は死体内特有の現象であり、特に死後24時間以降の血液中HAレベルの急激な増加は、死体試料からの測定において十分な考慮が必要であることを示唆するものである。
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