1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480187
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
馬渕 宏 金沢大学, 医学部, 助教授 (00019960)
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Keywords | 家族性高コレステロール血症 / LDLレセプター / 遺伝子診断 / LDLレセプター遺伝子異常 / FHーTonami-1 / FHーtonami-2 / FHーKanazawa / FHーOkayama |
Research Abstract |
昭和63年末までにわれわれが診断した家族性高コレステロール血症(FH)はホモ接合体性FH22例、ヘテロ接合体性FH1011例である。これらの症例のうち190家系についてLDLレセプター(LDLーR)遺伝子を検討した。患者末梢血からTriton Xー100lysis法により得た約20μgのDNAを制限酵素で切断し、サザンブロッテイング法にて検討した。その結果20家系(10.5%)に大きな遺伝子欠損を認め、4種の新しいLDLーR遺伝子変異を発見した。FHーTonami-1は第15エクソンと隣接する2つのイントロンにまたがる約6Kbの部分欠損で、その結果0結合糖鎖領域を欠くレセプターができていると思われる。FHーTonami-1から生れた新生児の臍〓血のLDLーR遺伝子の検討によりFHの診断が可能であった。FHーTonami-2は約10Kbの部分欠損により第2、3エクソンを欠落していた。両エクソンはLDL結合領域を構成する7つの繰り返し配列のうち最初の2つをコードしており、その欠損によりLDL結合能が若干低下したLDLーRができていると考えられた。この異常遺伝子を2つ持つホモFHのLDLーR活性は正常の約1/2であり、ヘテロFHーTonami-2ではLDLーR活性は正常の約3/4であり、"軽症FH"と考えられた。事実FHーTonami-2は比較的長寿であり、ヘテロFHは正脂血症のこともあった。FHーKanazawaは約12Kbの欠損により第3イントロンの3′側の部分欠損でありFHーTonami-2と区別できた。またFHーOkayamaはエクソン7から14に及ぶ約13Kbの部分欠損を示し、EGF前駆体相同領域の欠損であった。今回の検討で4つの新しい変異を発見したが、今後は大きな欠損のない例(全体の90%)のLDLーR遺伝子異常について検討したい。
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[Publications] Mabuchi,H.;et al.: Atherosclerosis. 72. 183-188 (1988)
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[Publications] Koizumi,J.;et al.: Atherosclerosis. 74. 1-8 (1988)
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[Publications] Kajinami,K.;et al.: Arteriosclerosis. 8. 187-192 (1988)
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[Publications] 伊藤英章,馬渕宏,竹田亮祐: 日本臨床. 46. 644-651 (1988)
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[Publications] 梶波康二,伊藤英章,武田三昭,道下一朗,若杉隆伸,小泉順二,馬渕宏,竹田亮祐: 動脈硬化. 15. 1675-1678 (1988)
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[Publications] 梶波康二,馬渕宏: 脂質生化学研究. 30. 445-447 (1988)