1988 Fiscal Year Annual Research Report
老化と免疫機能ー分裂・分化に関与する遺伝子の発現と調節ー
Project/Area Number |
63480190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 進 大阪大学, 医学部, 教授 (60028420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 英記 大阪大学, 医学部, 助手
根来 茂 大阪大学, 医学部, 講師 (30172753)
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Keywords | T細胞 / B細胞 / イオノマイシン / PMA / c-myc / c-myb |
Research Abstract |
老人のT細胞やB細胞は抗原やマイトゲンによる分裂反応が低下していることがわかっていたが、この原因を遺伝子の発現の面から研究を行なった。T細胞やB細胞を直接に刺激し分裂反応を起こすためにイオノマイシンとPMAを用いた。がん遺伝子であるc-mycやc-mybは細胞の活性化過程で発現され、短時間のうちに消失するものであるが、老人T細胞ではc-mycRNAの発現は正常にみられるにかかわらず、その消失が遅延していた。この原因はc-mycRNAの転写が持続していることによるのではなく、c-mycRNAの分解が遅延していることによることがわかった。これと異なりc-mybRNAの発現量は老人T細胞でも若年者のT細胞と同様の増減を示した。老人B細胞では、c-mycもc-mybもその発現パターンに差がみられなかった。次にc-mycDNAの変化について検討したが、c-mycRNAの発現を調節していると考えられるc-mycDNA遺伝子の領域のメチレーションが低下していた。メチレーションの低下は一般にその部位のmRNAへの転写の亢進を伴うものであるが、上述のように転写亢進は認められずその意義は不明である。老人の細胞の分裂能が低下している原因を明らかにするために、クローン化T細胞を作成し低下の原因を検索中である。今回は薬剤による遺伝子発現への影響についての検討は行えなかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kishimoto,S.: Mech.Ageing Dev.44. 153-168 (1988)
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[Publications] Kishimoto,S.: Mech.Ageing Dev.45. 167-175 (1988)
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[Publications] Kishimoto,S.: Biochem.Biophy.Res.Comm.157. 580-584 (1988)
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[Publications] 岸本進: アレルギーの臨床. 8. 608-612 (1988)
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[Publications] 岸本進: 臨床病理. 36. 1152-1157 (1988)
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[Publications] 岸本進: 臨床検査. 83. 142-147 (1989)
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[Publications] 岸本進: "気管支喘息の薬物療法:ステロイド薬「新しい喘息治療薬の使い方」" 医薬ジャーナル社, 95-105 (1988)
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[Publications] 岸本進: "Annual Review 免疫1989 老化と免疫" 中外医学社, 246-253 (1989)