1989 Fiscal Year Annual Research Report
臓器非特異的自己免疫疾患の病像形成におよぼす特異的自己抗体の役割りー抗リン脂質抗体症候群の確立ー
Project/Area Number |
63480194
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 光夫 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 教授 (20051047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏑木 淳一 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 助手 (40175287)
富永 教洋 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 客員講師
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Keywords | SLE / 抗リン脂質抗体症候群 / 抗リン脂質抗体 / 抗カルジオリピン抗体 / 抗DNA抗体 |
Research Abstract |
1.抗リン脂質抗体として、抗cardiolipin抗体、抗phosphatidylserine抗体、ル-ブス抗凝固因子、梅毒反応生物学的偽陽性を測定した。 2.抗リン脂質抗体は、臓器非特異的自己免疫疾患の代表であるSLE130例中70例(54%)に検出された。さらに、本抗体は、SLEー強皮症重複症候群(SLEーSS OL)48例中32例(67%)に認められた。3.抗リン脂質抗体症候群は、抗リン脂質抗体陽生例の中で、昭和63年度の研究で明らかにされた特異症状(動静脈血栓症あるいは自然流産)が同時に認められた症例として把握された。本症候群は、SLE130例中28例(22%)、SLEーSS OL48例中4例(8%)に見出された。4.抗リン脂質抗体陽性SLEで動静脈血栓症が認められた25例では、血栓症の危険因子(糖尿病、高脂血症など)、凝固因子の異常は明らかでなかった。5.抗リン脂質抗体陽性SLEの血清中抗DNA抗体を、DNAーpolyーLーlysine結合Sepharose4B免疫吸着カラムにより純化できた。これにより、抗リン脂質抗体症候群として把握されたSLEの臨床免疫学的特徴を検討した。本症候群では、抗DNA抗体のaffinityに明らかな関連はなく、抗DNA抗体と抗リン脂質抗体との間に交叉反応性のないことが示唆された。6.抗リン脂質抗体症候群として把握され、臨床経過を追跡しえたSLE、SLEーSS OLの間に、異なる臨床特徴が見出された。BFPはSLE20例中7例(35%)、APTT延長はSLE17例中12例(71%)に認められたが、SLEーSS OLの2例には見出されなかった。しかし、6ケ月以上持続する血小板減少陽性例はSLE20例中2例(10%)のみであったが、2例のSLEーSS OLではともに認められた。さらに二次線溶亢進はSLEで見出されなかったが、SLEーSS OLでともに認められた。抗リン脂質抗体価の上昇と血栓症出現時期は、SLEで一致したが、SLEーSS OLでは一致しなかった。今後、抗リン脂質抗体症候群は、臨床的にさらに分類されることが示唆された。
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Research Products
(2 results)