1990 Fiscal Year Annual Research Report
臓器非特異的自己免疫疾患の病像形成におよぼす特異的自己抗体の役割りー抗リン脂質抗体症候群の確立ー
Project/Area Number |
63480194
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 光夫 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 教授 (20051047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏑木 淳一 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 助手 (40175287)
富永 教洋 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 講師
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Keywords | SLE / 抗リン脂質抗体症候群 / 抗リン脂質抗体 / 抗カルジオリピン抗体 / 抗DNA抗体 |
Research Abstract |
1.(1)抗リン脂質抗体として、抗カルジオリピン(OL)抗体、抗フォスファチジルセリン(PS)抗体は、IgG、IgMのisotypeともに、臓器非特異的自己免疫疾患である全身性エリテマト-デス(SLE)、全身性強皮症(SSc)、多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)、重複症候群(OL)、分類不能膠原病(UCTD)で検出された。(2)しかし、抗リン脂質抗体高値陽性(IgG抗CI抗体あるいはIgG抗PS抗体20u/ml以上)例は、SLE140例中37例(26%)に見出された。これは、SLE SSc OL48例の17%、UCTD52例の17%、SSc81例の5%、PM/DM23例の0%、SScーPM OL6例の0%に比べ高率であった。2.抗リン脂質抗体症候群は、血清学的特徴として抗リン脂質抗体高値陽性、臨床特徴として動静脈血栓症あるいは自然流産が共に認められる症例として抽出された。3.SLEにおける抗リン脂質抗体症候群では、抗リン脂質抗体価の上昇がみられた時期に一致して、かかる臨床特徴が見出された。抗体の性状として、抗DNA抗体のaffinityは一様でなかったが、抗リン脂質抗体と抗DNA抗体との間には、交又反応性がすべての症例で乏しかった。また、副腎皮質ステロイド剤投与を受けた例では、両抗体価の低下がみられたが、抗リン脂質抗体価は抗DNA抗体価に比べ遅れて低下した。4.SLEーSSc OLにおける抗リン脂質抗体症候群では、抗リン脂質抗体価と臨床特徴の出現時期が一致しなかった。また、治療として、副腎皮質ステロイド剤は無効で、抗凝固療法(ワ-ファリンなど)が有効であった。5.抗リン脂質抗体症候群は、一定の血清学的特徴と臨床特徴により把握されたが、さらにsubsetsに分類される可能性のあることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 野川 茂,本間 光夫,鏑木 淳一 他: "舞踏病で発症し抗リン脂質抗体症候群とされた非定胚全身腫エリテスト-デスの1例" リウマチ. 29. 134-142 (1989)
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[Publications] Kaburaki,J.,et al: "Clinical significance of antiーphospholipid antibodies in patients with systemic sclerosis" Connective Tissue. 21. 139-140 (1990)
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[Publications] 鏑木 淳一,他: "抗リン脂質抗体症候群" 日内会誌. 79. 1404-1407 (1990)