1988 Fiscal Year Annual Research Report
日本人に広く分布する疾患遺伝子APRT^*Jの頻度測定と他人種における広がりに関する研究
Project/Area Number |
63480196
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鎌谷 直之 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (00114447)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箱田 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70208429)
河合 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60152899)
山中 寿 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10166754)
|
Keywords | 腎不全症 / 尿路結石症 / 遺伝病 / プリン代謝 / 代謝病 / 遺伝子病 |
Research Abstract |
今年度、以下の研究の進歩があった。まず我々は総計42家系のAPRT欠損症を正しく診断した。今まで、世界で報告されているAPRT欠損症の家系が50数家系であるから、我々は圧倒的多数の家系を診断していると言える。この42家系のAPRT欠損症について(1)酵素活性(2)T細胞のアデニン類似体に対する抵抗性(3)前に発表した方法によるヘテロ接合体の診断(4)BrCN切断による136Met→Thrのアミノ酸置換の証明(5)サザンブロット法によるゲノムDNAの分析(6)PCR法によるsingle mismatchの検出、などの方法で遺伝子型及び変異対立遺伝子を検索した。DNA結石症、腎症を来たした個体は、すべてAPRT遺伝子座についてホモ接合体であった。すべての家系の約80%は対立遺伝子に少なくとも一つのAPRT^*J(日本人に広く分布しPRPPに対して親和性の低下した変異酵素をコードしている。136番目のコドンがATGからACGになる変異によって説明できることが示されている。)を含み、残りはすべて完全欠損をコードする対立遺伝子(APRT^*QO)であった。検索したすべての対立遺伝子54個のうち、わずかに1つがサザンブロットで異常を示した。APRT^*J/APRT^*J由来のcell lineからのAPRT蛋白はすべて136のMetを消失し、アミノ酸のレベルでは同一の変異であることがわかった。APRT遺伝子のイントロン2内にAPRT^*Jの変異部位より約1.1Kb上流にTaqIにより区別されるRFLPがあるが、遺伝子の5´側に、APRT^*Jの突然変異部位より約3.8Kb上流にもSphIにより検出されるRFLP部位が存在する。正常人では、ほとんどの対立遺伝子が4種のハプロタイプにほぼ均等に分布した。しかし、APRT^*Jの対立遺伝子はその中の2種のハプロタイプに分布した。TaqI siteについてはすべて同じ、SphI siteについては16%が異なっていた。これはAPRT^*Jが単一祖先遺伝子に由来し、しかも突然変異部位とSphI siteの間で交叉が起きたことを示している。
|
-
[Publications] Hidaka,Y.Tarle,S.A.Kamatani,N.Kelley,W.N.Palella,T.D.: Adv.Exp.Med.Biol.
-
[Publications] Kamatani,N.Kuroshima,S.Terai,C.Hakoda,M.Nishioka,K.Mikanagi,K: Adv.Exp.Med.Biol.
-
[Publications] Takeuchi,F.Kamatani,N.Nishida,Y.Miyamoto,T.: Adv.Exp.Med.Biol.
-
[Publications] Hidaka,Y.Tarle,S.A.Fujimori,S.Kamatani,N.Kelley,W.N.Palella,T.D.: Journal of Clinical Investigation.81. 945-950 (1988)
-
[Publications] Kamatani,N.Sonoda,T.Nishioka,K.: Journal of Urology.140. 1470-1472 (1988)
-
[Publications] Kamatani,N.Kuroshima,S.Terai,C.Hakoda,M.Nishioka,K.Palella,T.D.: American Journal of Human Genetics.