1989 Fiscal Year Annual Research Report
Kupffer細胞より放出される各種メディエ-タ-に関する研究
Project/Area Number |
63480206
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
谷川 久一 久留米大学, 医学部, 教授 (10080649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正俊 久留米大学, 医学部, 助手 (60179786)
野口 和典 久留米大学, 医学部, 助手 (40180715)
吉田 博 久留米大学, 医学部, 講師 (60158467)
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Keywords | Kupffer細胞 / 肝細胞 / 類洞内皮細胞 / pit細胞 / 細胞培養 / サイトカイン |
Research Abstract |
単一動物から同時に分離したKupffer細胞、肝細胞、類洞内皮細胞および肝関連natural killer細胞(pit細胞)を使用して、singleあるいはcoーculture系を作成し、Kupffer細胞を中心とした細胞間相互作用について検討を行った。培養Kupffer細胞は、菌体粒子あるいはエンドトキシンで刺激されると活性化され、その培養上清中に肝細胞刺激因子を放出することが明らかとなった。この因子はインタ-ロイキンー6と推定され、これにより培養肝細胞は急性期蛋白であるCーreactive protein(CRP)を産生した。このようなKupffer細胞の活性化には一定の時間が必要であったが、超微形態学的には異物貪食機能の増強と、蛋白合成亢進を示唆する所見が観察された。このことにより炎症時の生体防御には、肝在住マクロファ-ジであるKupffer細胞と同時に、サイトカインで刺激を受けた肝細胞も重要な働きをしていることが明らかとなった。 いっぽう、pit細胞はその増殖においてKupffer細胞から産生・放出されるインタ-ロイキンー1が必要であり、さらにその分化、成熱にはインタ-ロイキンー2の存在とKupffer細胞との接触が必要であった。このことによりKupffer細胞がPit細胞の抗腫瘍活性を誘導しているものと考えられ、抗悪性腫瘍機構の中でKupffer細胞とそのサイトカインは極めて重要な働きをしていることが示唆された。さらに、Kupffer細胞と類洞内皮細胞のcoーculture系では、類洞内皮細胞の機能、形態がよく保たれ、Kupffer細胞の産生するサイトカインは、肝網内系の一部を構成する類洞内皮細胞に対しても作用している可能性が示唆された。 また本研究で、肝細胞と類洞内皮細胞間には、IV型コラ-ゲンを介した細胞間相互作用が存在することが明らかとなった。今後は、Kupffer細胞からのメディエ-タ-が、類洞内皮細胞と伊東細胞のコラ-ゲン産生に及ぼす効果についても検討を加える予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 谷川久一: "エンドトキシンと肝疾患" エンドトキシン臨床研究の現状と展望. 8. 9-25 (1989)
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[Publications] 谷川久一: "エンドトキシンと肝疾患" 化学療法の領域. 15. 73-77 (1989)
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[Publications] 谷川久一: "間葉系細胞の培養" 肝胆膵. 19. 945-950 (1989)
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[Publications] Kazunori Noguchi: "Ultrastructural and functional characteristics of activated Kupffer cells" Cells of the Hepatic Sinusoid. 2. 147-148 (1989)
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[Publications] Masatoshi Tanaka: "Hovest of liver sinusoidal large granular lymphocytes(pit cells)and augumentation of NK activity by the administrate of OK+432" Cells of the Hepatic Sinusoid. 2. 451-455 (1989)
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[Publications] 田中正俊: "肝類洞large granular lymphocytesに対するOKー432,ILー2の効果の検討" 肝類洞壁細胞研究の進歩. 2. 150-154 (1989)