1990 Fiscal Year Annual Research Report
HTLVーI関連脊髄症(HAM)の発症機序における免疫異常の役割に関する研究
Project/Area Number |
63480217
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
糸山 泰人 九州大学, 医学部, 助教授 (30136428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 潤一 九州大学, 医学部, 助手 (40183305)
|
Keywords | HAM / HTLVーI / リンパ球サブセット / リンパ球幼若化反応 / NK活性 / CTL活性 / ADCC活性 |
Research Abstract |
I、目的 本研究はHAMの発症機序をHTLVーI感染関連の免疫異常により解明することを目的とする。本年度は(1)リンパ球サブセットをより詳細なCD分析を行う。(2)spontaneous PBL proliferationの抑制因子を検討する。(3)HTLVーI感染に対する細胞性免疫監視機構を検索する。 II、研究実績 (1)リンパ球サブセット:各種のNK細胞マ-カ-を調べたが、その多くのサブセットがHAMでは低下を示した。特にADCC活性やLAKに関系のあるCD16^+ CD3^+細胞の低下が著明であった。 (2)spontaneous PBL proliferation(SPP)の抑制因子:SPPの抑制因子を患者血清、HTLVーI抗体、ヒトリンパ球に対するモノクロナ-ル抗体(mAb)及びサイクロスポリンなどで検索した。患者血清やHTLVーI抗体では有意に抑制しなかったが、1Lー2RmAbとサイクロスポリンが著明な抑制効果を示した。 (3)HTLVーI感染細胞とそれに対する免疫監視機構:HAM患者末梢流血中にはHTLVーI感染細胞がcarrierに比べて有意に増加していた。その感染細胞に対する細胞性免疫監視機構ではMTー2細胞に対するCTL活性は亢進しているものの、NK活性やADCC活性はHAMでは有意に低下していた。 III、まとめ HAMではHTLVーI感染に関連してT細胞が活性化されSPP亢進をきたすがその反応はILー2とILー2Rを介するものと考えられた。また、HTLVーI感染細胞に対するCTL活性は亢進していたがNKやADCC活性は低下していた。
|
-
[Publications] 石本 聖一: "αーインタ-フェロン投与により網膜血管炎が改善したHTLVーIーassociated myelopathy(HAM)" 日本眼科学会雑誌. 94. 769-773 (1990)
-
[Publications] Kira,J.: "Increased HTLVーI proviral DNA in HTLVーIーassociated myelopathy:A quantitative polymerase chain reaction study." Ann.Neurol.29. 194-201 (1991)
-
[Publications] Yu,F.: "Natural killer(NK)cells in HTLVーIーassociated myelopathy/tropical spastic paraparesisーーーDecrease in NK subset populations and activity in HTLVーi seropostive individualsーー" J.Neuroimmunol.
-
[Publications] Itoyama,Y.: "Annual Review 神経1991:HAMの免疫異常" 中外医学社, 7 (1991)