1989 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチン性アセチルコリン受容体を中心とした神経伝達の分子機構に関する生化学的研究
Project/Area Number |
63480218
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 恭三 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00029935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (40137063)
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (80164747)
平野 和行 岐阜薬科, 薬学部, 助教授 (90057365)
古川 昭栄 国立精神神経センター, 神経研究所, 室長 (90159129)
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Keywords | 神経筋接合部 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / 機能発見 / コリン性リガンド / 43kタンパク質 / リン酸化 / 脱感作 / 架橋形成 |
Research Abstract |
神経筋接合部に存在しているニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は4種のサブユニット(α_2βγδ)からなり、神経筋肉間の情報の伝達に寄与している生体高分子であるが、その機能発現には周辺に存在するタンパク質や、nAChR分子の側鎖が重要な役割を演じていると考えられる。本年度はnAChRの機能制御に関与すると考えられるnAChR分子のリン酸化の役割を明らかにすることを目的として、リン酸化チロシン残基の同定やコリン作動性リガンドによるその量的変動について検討した。またnAChRとの関連が深い細胞膜裏打ちタンパク質(43Kタンパク質)の機能やnAChR分子との空間配位についても検討した。 その結果(1)nAChRの4種のサブユニットの中、βおよびδサブユニットは、in vivoで特定のチロシン残基がリン酸化を受けていると考えられること、(2)コリン性リガンド(カルバミルコリン、コブロトキシン、αーブンガロトキシンなど)の添加により、これらのサブユニットのチロシン残基のリン酸化は濃度依存的に増加し、さらに時間経過とともに増加する傾向を示したが、これらの結果はnAChRへの結合により高次構造が変化し、チロシン残基のリン酸化が促進し、ひいてはnAChRの脱感作などの機能発現に関与していることが示唆された。(3)43Kタンパク質のリン酸化能を検討するため43Kタンパク質の存在下に〔γー^<32>P〕ATPとnAChRをインキュベ-トしたが、nAChRのリン酸化は認められなかった、(4)nAChRーrich膜画分を用いて架橋剤の存在下、43Kタンパク質とnAChRの架橋形成を試みたが、nAChRのサブユニットと43Kタンパク質が架橋される証拠は得られず、43Kタンパク質がnAChRの特定のサブユニットと接近して存在しているとは考えられないなどいくつかの知見を得ることが出来た。これらの知見はnAChRの構造と機能の研究に寄与するものと考える。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 野元裕,林恭三: "ニコチン性アセチルコリンセプタ-:構造と機能を中心に" 神経研究の進歩. 33. 932-939 (1989)
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[Publications] 野元裕,林恭三: "骨格筋:アセチルコリン受容体を中心に" 日本臨床. 47. 4761-4766 (1989)
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[Publications] 太田光熈,太田潔江,林恭三: "ニコチン性アセチルコリン受容体" 日本臨床. 47. 1213-1218 (1989)
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[Publications] 野元裕,太田光熈,林恭三: "ニコチン性アセチルコリン受容体" 蛋白質・核酸・酵素. 35. 1181-1194 (1990)
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[Publications] 林恭三,野元裕: "ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の構造と機能" 化学.
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[Publications] 林恭三,野元裕: "膜と神経・筋・シナプスー2" 多見書房, 465 (1989)
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[Publications] Mitsuhiro Ohta,Kyozo Hayashi: "Handbook of Neurotoxins" Marcel Dekker,