1988 Fiscal Year Annual Research Report
心筋傷害における心筋細胞膜情報伝達系とPIレスポンスに関する研究
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63480220
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川口 秀明 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70161297)
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Keywords | ホスホリパーゼC / G蛋白質 / イノシトール3リン酸 / ホスファヂールイノシトール |
Research Abstract |
〈研究目的〉 心筋細胞は外部からの情報を細胞膜を介して細胞内に伝えそれを制禦することによって機能を調節している。また心筋細胞の肥大では心筋細胞α受容体の過剰刺激が成因として問題となっている。しかしながら、その心筋細胞内での情報伝達機構の詳細については不明な点が少なくない。細胞膜情報伝達機構としてアデニレートシクラーゼ系・ホスファヂールイノシトル特異的ホスフォリパーゼC(PIP_2-PLC)、Ca^<2+>イオン系が考えられている。GTP結合蛋白質は情報伝達系の一種であり、アデニレートシクラーゼ系の一部を構成し、それには促進性のGsと抑制性のGiとが存在し、細胞内cAMPおよびCa^<2+>濃度の調節に関与している。また細胞内Ca^<2+>濃度調節にはPIP2-PLCおよびその代謝産物のIP3が重要視されてきたが、最近この2つの系が相互に重要な役割を演じる可能性が指摘されてきた。われわれはさきにラット心筋で新しいタイプのGTP結合蛋白質を発見し、それが肥大心筋で低下することをすでに報告した。また心筋細胞に、より生理的細胞内Ca^<2+>濃度に近いCa^<2+>濃度で作用するPIP2-PLCを発見した。本研究ではこの新しいGTP結合蛋白質が心肥大、心不全および障害心筋においてPIP2-PLCおよびCa^<2+>系とともにいかなる作用を持つかを検討する。 〈研究成果〉 心筋症ハムスターにおいてβレセプターの数が心肥大期から心不全期にかけて減少する傾向にあった。cAMPはコントロールでは週令による変化は見られなかったが、心筋症ハムスターでは週令とともに有意に減少する傾向が見られた。GTP結合蛋白質のうちGsはコントロールともに週令による変化は見られなかった。しかしGiはコントロールにて週令と共に減少傾向が見られたが、心筋症ハムスターでは変化はなかった。またPLCを検討したところBioではコントロールよりも高く、さらに週令により増加する傾向が見られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hideki,Kawaguchi: Biochimica Biophysica Acta. 958. 450-459 (1988)
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[Publications] Hideki,Kawaguchi: Cireulation Res. 62. 1175-1181 (1988)
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[Publications] Osamn,Fuhii: J.Hypertesion. 6. 671-675 (1988)
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[Publications] Satoshi,Fujii: Journal of Molecular and Cellular Cardio logy. Vol20,no9. 779-787 (1988)
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[Publications] Hideki,Kaeaguchi: Circulation Rerearch. 63. 1029-1035 (1988)