1990 Fiscal Year Annual Research Report
腎内血圧調節ホルモン系の生合成調節並びに細胞性作用機構の研究
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63480221
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 圭志 東北大学, 医学部, 教授 (60004777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 一男 東北大学, 医学部, 助手 (50217361)
工藤 啓 東北大学, 医学部, 助手 (00214966)
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Keywords | 腎髄質乳頭部集合管 / 高血圧自然発症ラット / プロスタグランディンE_2 / cAMP / cGMP / 細胞培養 / 細胞内セカンドメッセンジャ- / 腎ネフロン |
Research Abstract |
本年度の研究としては、これまでに確立した細胞培養技術を用いて腎髄質乳頭部集合尿細管細胞を培養し、各種ホルモン・生理活性物質に対する細胞内セカンドメッセンジャ-の反応性を検討した。さらに、この細胞内セカンドメッセンジャ-の反応性を高血圧実験動物モデルとその正常血圧対照動物で比較検討し、高血圧発症の機序との関連を解析した。すなわち、高血圧モデルとして高血圧自然発症ラット(SHR)を、正常血圧対照としてWistarーKyotoラット(WKY)を使用し、高血圧発症以前の幼若4週齢SHRと高血圧の確立した16週齢SHR、及び対照同一週齢のWKYから腎髄質乳頭部集合尿細管細胞(RPCT細胞)を採取・培養し、プロスタグランディンE_2(PGE_2)及びサイクリックヌクレオチド(cAMP、cGMP)の基礎産生量及び各種ホルモン生理活性物質(バゾプレシン、ブラディキニン、atriopeptinIII及びsodium hitroprusside)に対する反応性を比較検討した。4週齢では、RPCT細胞におけるPGE_2及びcAMPの基礎産生量はSHRでWKYより低いが、アラキドン酸とA23187刺激時のcAMP産生量には両群間に差を認めなかった。16週齢SHRラットでは細胞蛋白量当りのPGE_2,cAMP,cGMPの産生量はいずれも4週齢に比して低く、SHRとWKYの間には差を認めなかった。この結果は、内因性アラキドン酸の有効な利用が高血圧の発症期において既に損われていることを示唆している。腎ネフロンの中で腎髄質乳頭部集合尿細管はナトリウム輸送の最終調節部位であり、尿中電解質排泄の調節に重要な役割を果たすと考えられていることから、高血圧発症前段階の幼若SHRでは、これらの異常が存在し電解質異常を引き起こし、高血圧の発症に深く関与していると考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.SATO,K.ABE,K.TAKEUCHI et al.: "PAPILLARY COLLECTING TUBULE RESPONSIVENESS TO VASOACTIVE HORMONES IN SPONTANEOUSLY HYPERTENSIVE RATS" JOURNAL OF HYPERTENSION. 6. 476-478 (1988)
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[Publications] M.SATO,K.ABE,M.YASUJIMA et al.: "INHIBITORY EFFECT OF CICLETANINE ON VASCULAR SMOOTH MUSCLE CELL PROLIFERATION" ARCH.MAL.COEUR.82. 63-66 (1989)
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[Publications] N.NUSHIRO,K.ABE,M.SEINO AND K.YOSHINAGA: "INTERACTON BETWEEN ANP AND AMILORIDE IN RENAL TUBULAR SODIUM HANDLING IN ANESTHETIZED RABBITS" AMERICAN J.PHYSIOL. 254. 521-526 (1988)
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[Publications] K.KUDO,K.ABE,S.CHIBA et al.: "ROLE OF THROMBOXANE A_2 IN THE HYPERTENSIVE EFFECT OF CAPTOPRIL IN ESSENTIAL HYPEPTENSION" HYPERTENSION. 11. 147-152 (1988)
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[Publications] 竹内 和久,阿部 圭志,阿部 高明,吉永 馨: "アンギオテンシンIIによるイノシト-ル燐酸生成に対するカルシウム拮抗薬(ジルチアゼムおよびニフェジピン)の影響:培養血管平滑筋にける検討" 薬理と治療. 1. 85-87 (1990)
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[Publications] 許 士郎,阿部 圭志,佐藤 牧人,佐藤 寿伸,保嶋 実,角田 一男,他: "腎髄質乳頭部集合尿細管培養細胞におけるホルモンの反応性:SHRとWKYとの比較" 日本腎蔵学会誌.
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[Publications] 阿部 圭志: "高血圧の病態生理におけるプロスタグランジンの役割ー特にレニン・アンジオテンシン系との相互作用についてー" 現代医療社, 46 (1990)
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[Publications] 阿部 圭志,佐藤 牧人,伊藤 貞嘉: "腎におけるプロスタグランジン系の役割" 図解講座生理シリ-ズ, 395(7)-399(11) (1989)