1988 Fiscal Year Annual Research Report
粥状硬化巣における泡沫細胞の性質と泡沫化の抑制に関する研究
Project/Area Number |
63480225
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
葛谷 文男 名古屋大学, 医学部, 教授 (80023761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 通孝 名古屋大学, 医学部, 助手 (10198012)
浅井 幹一 名古屋大学, 医学部, 講師 (70151008)
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Keywords | 粥状硬化 / 泡沫細胞 / 平滑筋細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
我々は既にコレステロール負荷による家兎の実験的粥状硬化巣の細胞を酵素的に分散し、付着能の差を利用して、マクロファージ系と平滑筋細胞を分離する方法を確立した。この方法により、粥状硬化巣内には少なくとも2種類の細胞ーマクロファージ系と平滑筋細胞ーが存在し、両者とも多量の脂肪滴を含むもの(いわゆる泡沫細胞)が存在したが、マクロファージ由来の泡沫細胞と平滑筋細胞由来のそれとは形態学的(透過型電子顕鐘鏡を含む)及び細胞化学的に容易に区別されることを示した。 さらに、この方法によりほぼ純粋に分離されたマクロファージ由来泡沫細胞の性質を生化学的に検討し、血液単球と比較した。それにより、泡沫細胞のβーグルクロニダーゼ活性、スーパーオキサイド産生能は血液単球のそれと同程度であるのに対して、リゾチーム活性は極端に低下していることが明らかになった。 また、分離されたマクロファージ由来泡沫細胞の可逆性、すなわち、一旦取り込んだ脂肪を放出して元のマクロフィージにもどり得るか否かを検討した。その結果、高比重リポ蛋白の充分存在する環境においても泡沫細胞は容易には脂肪を放出して、元のマクロファージにはもどり得ないことが示された。この結果は、アセチル化低比重リポ蛋白などによって培養下に作成された泡沫細胞における結果とは異なっており、今後、動物の種差、泡沫化の条件等について検討を行う予定である。 これらの成果を手掛りとして、家兎の実験的粥状硬化を実際に抑制あるいは退縮させる方法を試みる。
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[Publications] T.Hayashi;M.Naito/M.Kuzuya;C.Funaki;K.Asai;F.Kuzuay: J.Jpn.Atheroscler.Soc.16. 391-393 (1988)
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[Publications] M.Naito;C.Funaki;T.Hayashi;M.Kuzuya;K.Asai;F.Kuzuya: J.Jpn.Atheroscler.Soc.16. 385-387 (1988)
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[Publications] M.Naito;T.Hayashi;C.Funaki;M.Kuzuya;K.Asai;F.Kuzuya: Atherosclerosis. 70. 273-274 (1988)
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[Publications] M.Naito;T.Hayashi;M.Kuzuya;C.Funaki;K.Asai;F.Kuzuya: Heart Vessels. 4. 100-103 (1988)
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[Publications] M.Naito;T.Hayashi;M.Kuzuya;C.Funaki;K.Asai;F.Kuzuya: FEBS Letters.
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[Publications] 内藤通孝,林登志雄,舟木千明,葛谷雅文,浅井幹一,吉峯徳,葛谷文男: 過酸化脂質研究. (1989)