1988 Fiscal Year Annual Research Report
致死性心室不整脈と心筋細胞内Ca^<++>動態との関連
Project/Area Number |
63480226
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50194973)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (30124720)
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Keywords | 張力階段現象 / 心室筋細胞 / モルモット / ラット / Ca^<2+>感受性色素Fura2 |
Research Abstract |
カルシウム感受性色素Fura2とビデオカメラシステムを用いて、単離心室筋細胞の収縮弛緩に伴う細胞内カルシウム動態と細胞長変化を同時に観察し、張力階段現象の発現機序に関する考察を行った。 モルモット及びラットの単離心室筋細胞にFura2を負荷した後、顕微鏡上の実験漕に移し、これに紫外線を照射して得られる蛍光を高感度カメラで撮影し、VTRに収録した。このビデオ画像をコンピュータにより解析し、蛍光強度比を求めてCa^<2+>濃度に換算した。 電気刺激により単一心室筋細胞に単収縮を誘発すると、これに伴い一過性の細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が生じた。このCa^<2+>濃度変化の時間経過は、ラットの心室筋細胞の方がモルモットに比べ有意に急俊であった。3分間の静止の後、1Hzの刺激を再開して細胞内Ca^<2+>濃度と細胞収縮の変化を観察した。モルモット心室筋細胞においては、単収縮に伴う細胞短縮は刺激再開後の数拍にわたって段階的に増加し、この時Ca^<2+>濃度も収縮期と拡張期の値がいずれも段階的に増加した。ラット心室筋細胞の場合は、単収縮に伴う細胞短縮は刺激再開後の数拍にわたって段階的に減少した。この時、収縮期Ca^<2+>濃度は細胞短縮と平行して段階的に減少し、拡張期Ca^<2+>濃度は一定のままであった。 この研究により、モルモットとラット心室筋に観察される張力階段現象の様式の差は、それぞれの細胞内Ca^<2+>動態の違いに基づくことが示され、また、拡張期Ca^<2+>濃度の増加が正の張力階段現象の発現に関与することが明らかとなった。動物種によるこのような細胞内Ca^<2+>動態の差は、細胞膜のCa^<2+>チャネルや筋小胞体などのCa^<2+>濃度制御に与える機構の発達がそれぞれ異なるためであると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Toshiyuki Osaka: Circulation. 76. 226-236 (1987)
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[Publications] Haruo Honjo: Japanese Circulation Journal. 51. P64 (1987)
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[Publications] 杉浦宏紀: 名古屋大学環境医学研究所 年報. 38. 90-92 (1987)
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[Publications] 本荘晴朗: 名誤屋大学環境医学研究所 年報. 38. 96-99 (1987)
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[Publications] 服部愛弘: 名古屋大学環境医学研究所 年報. 39. 266-268 (1988)
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[Publications] Toshio Sato: IEEE Transactions on Biomedical Engineering. 35. 397-400 (1988)