1989 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系における受容体と情報伝達機構の制御とその病態
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63480230
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Research Institution | Kobe University School of Medicine |
Principal Investigator |
福崎 恒 神戸大学, 医学部, 教授 (90030824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 康洋 神戸大学, 医学部, 助手 (80169755)
秋田 穂束 神戸大学, 医学部, 助手 (60175792)
石川 雄一 神戸大学, 医学部, 講師 (90159707)
横山 光宏 神戸大学, 医学部, 助教授 (40135794)
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Keywords | セロトニン / プリン受容体 / 培養心筋細胞 / 百日咳毒素 / 自動拍動 / プロテインキナ-ゼC / イノシト-ルリン脂質代謝 / 心肥大 |
Research Abstract |
心血管系は神経伝達物質、ホルモン、オ-タコイドなどによって循環の制御を受けており、これらの生理活性物質の作用機構が破綻をきたすと心肥大、心不全、動脈硬化や血管攣縮などの病態に到ると考えられる。従ってこれらの物質の生理的な作用機序を分子、細胞レベルで理解することが種々の病態の解明に重要である。イノシト-ルリン脂質(PI)代謝は心筋細胞の肥大や収縮に重要な役割を果たすと考えられているが、私達は、マウス胎児培養心筋細胞を用いて、フェニレフリン、アセチルコリン、血清、セロトニン(5HT)、ATPなどがPI代謝を促進することを明らかにしてきた。本年度は、5HT受容体とプリン受容体を介するPI代謝とその調節機構および生理的意義をさらに詳細に解析した。(1)5HT受容体:5HTは従来より陽性変時、変力作用を有することが知られているが、その作用機構の詳細は不明であった。私達はまずマウス胎児心室より調製した培養心筋細胞を用いて、Berridgeらの方法によりPI代謝を測定した。また、5HT刺激前後の自動拍動の変化(拍動数、収縮力)をTVカメラによってモニタ-した。5HTは濃度依存性にPI代謝と自動拍動を促進した。これら両反応はともに特異的5HT2受容体を介していること、また本細胞では、5HT2受容体には百日咳毒素(IAP)非感受性のGTP結合蛋白質が共役している可能性が高いことを明らかにした。さらにPI代謝に伴って活性化されるCキナ-ゼが5HTによる自動拍動促進に重要な役割を果たしていることを示した。(2)プリン受容体:従来、心筋のプリン受容体についてはほとんど報告されていないが、私達はマウス胎児心筋細胞においてATPがP2受容体を介して濃度依存性にPI代謝を促進することを見出した。さらにこの反応は一部IAP感受性であることやCキナ-ゼによって負の調節を受けることを明らかにした。今後、心筋細胞におけるP2受容体を介するPI代謝の生理的意義を解析する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Hamamori,M.Yokoyama,M.Yamada,H.Akita,K.Goshima: "5-Hydroxytryptamine Induces Phospholipase C-mediated Hydrolysis of Phosphoinositides through 5-HT2 Receptors in Cultured Fetal Mouse Ventricular Myocytes" Circulation Research. 60. (1990)
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[Publications] Y.Ishikawa,Y.Asaoka,T.Taniguchi,M.Tsunemitsu,H.Fukuzaki: "Phosphatidylinositol turnover in human monocyte-derived macrophages by native and acethl LDL" FEBS Letters. 246. 35-38 (1989)
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[Publications] M.Kawata,Y.Kawahara,S.Araki,M.Sunako,T.Tsuda,H.Fukuzaki,A.Mizoguchi,Y.Takai: "Identification of a major GTP-binding protein in bovine aortic smooth muscle membranes as smg p21,a GTP-binding protein having the same effector domain as ras p21s" Biochemical and Biophysical Research Communications. 163. 1418-1427 (1989)
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[Publications] M.Sunako,Y.Kawahara,K.Hirata,S.Araki,M.Yokoyama,H.Fukuzaki,Y.Takai: "Mass analysis of 1,2-diacylglycerol in cultured rabbit vascular smooth muscle cells-comparison of stimulation by angiotensin II and endothelin," Hypertension. 15. 84-88 (1990)
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[Publications] T.Nishimoto,M.Yokoyama,H.Fukuzaki: "Self-suppression of phosphoinositides tumover and contraction by stimulating the release of endogenous endothelium-derived relaxing factor in vascular action of histamine" Cardiovascular Research. 24. (1990)