1988 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋虚血の発生に関する冠動脈硬化病変の活性化現象について
Project/Area Number |
63480231
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友池 仁暢 九州大学, 医学部, 講師 (90112333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 左門 九州大学, 医学部, 講師 (90128017)
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Keywords | 冠動脈攣縮 / 動脈硬化 / 高コレステロール血症 / X線照射 / 冠動脈造影 / 心筋虚血 / セロトニン / ヒスタミン |
Research Abstract |
目的:急性心筋虚血の成因として動脈硬化による器質的冠動脈狭窄と共に冠動脈攣縮が重要な役割を演じている。冠動脈攣縮は寒冷刺激、過換気、エルゴノビン等によって容易に誘発される活動期(hot stage)と、発作が生じない非活動期(cold stage)とがある。病勢の活動性がいかなる機序に基づくか解明されていない。本研究では動脈硬化の過程を促進する事が知られているX線照射によって、冠動脈の血管反応性が変化するか、血管反応性亢進の成立機序等を検討した。 方法:ゲッチンゲン種ミニ豚(生後4-6か月)を麻酔し、冠動脈内にバルーンカテーテルを挿入し内膜を3-5cm機械的に剥離した。3か月後、冠動脈の薬物に対する反応性を冠動脈造影で評価した後、内膜剥離部に限局して1500ラドX線を照射した。4週後同量のX線を照射し、8週後に再び冠動脈造影を行って血管の反応性を定量的に評価した。 結果:内膜剥離3か月におけるセロトニン、ヒスタミンに対する血管収縮反応は35±6、40±6%であった。X線照射を行った後、ヒスタミンに対して60±6%、セロトニンに対して75±7%収縮し、いずれの薬物に対しても収縮反応の亢進を認めた。セロトニンによる冠動脈内腔狭窄は顕著で心電図ST変化を高頻度に伴った。セロトニン、ヒスタミンに対する収縮反応は、各々ケタンセリン、メピラミンの前処置によって抑制された。 考案:内膜剥離をしたミニ豚冠動脈のヒスタミン、セロトニンに対する収縮反応はX線照射によって有意に増強した。拮抗剤による成績から、セロトニン-2受容体、ヒスタミン-1受容体の機能亢進による事が示唆された。X線が受容体、情報伝達系、収縮蛋白のいずれを変化させたかは今後検討を要する。これらの解析によって、冠動脈攣縮病勢の活性化機序が明らかになると思われる。攣縮と冠動脈硬化病変の進展との関連性についても検討が可能になった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Inoue Takeshi.: Journal of American College of Cardiology. 11. 187-191 (1988)
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[Publications] Hayashi Yasuo.: American Journal of Physiology;Heart and Circulatory Physiol.254. H1081-H1090 (1988)
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[Publications] Tomoike Hitonobu.: Cardiovascular Research. 23. 31-39 (1989)
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[Publications] Mohri Masahiro.: American Heart Journal. 117. 43-52 (1989)
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[Publications] Mohri Masahiro.: Circulation Research. 64. (1989)
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[Publications] Nagasawa Kazushige.: Circulation Research. (1989)
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[Publications] Tomoike Hitonobu.: "MICROCIRCULATION IN CIRCULATORY DISORDERS:Hemodynamic factors influencing regional ischemia and infarction of the myocardium;Difference between right and left ventricular myocardi" Springer Verlag, 347-353 (1988)
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[Publications] 友池仁暢: "Annual Review 循環器 1989 血管機能と血管内皮細胞" 中外医学社, 35-42 (1989)