1988 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の分化過程および免疫制御機構の解析による免疫異常症発症機序の解明
Project/Area Number |
63480234
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
矢田 純一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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Keywords | NK細胞 / T細胞レセプター / キラーT細胞 / 抗原結合リンパ球 / 免疫調節 / 原発性免疫不全症 / 自己免疫病 / アレルギー |
Research Abstract |
1.NK細胞には表面にCD8分子をもつものとCD16分子をもつものとが存在するが、各々を単離して調べたところCD16分子をもつものに抗体産生抑制作用を認めた。関節リウマチにおいて関節液中のNK細胞の増加と予後とが相関するといわれるが、それはCD16をもつNK細胞の免疫抑制作用によることが示唆されてわけである。治療の効果とこのNK細胞の動態との関係を検討中である。 2.ある種の原発性免疫不全症では健康人では極めて少数しかないγσ型のT細胞が異常に増加しているものが存在した。このT細胞は原始的な細胞傷害性T細胞と考えられているのであるが、それを単離して機能を検討したところ、健康人の細胞傷害性T細胞とは異なる態度を示した。これとは別に行った基礎的検討によると、NK細胞、LAK細胞、キラーT細胞は、細胞内CAMP量や糖の存在による誘導への影響、細胞傷害活性発現におけるT細胞サブセットの関与の仕方からみると相異がみられ、ウイルスの防御や腫瘍細胞の排除に重要とされるこれらのキラー細胞にも分化の上での違いがあり、原発性免疫不全症ではそれらの細胞の分化段階のさまざまのステップで障害が生じているものがあると推定された。 3.アレルギー患者においてアレルゲンを結合するリンパ球を免疫磁気ビーズを用いて検討したところ、血清中に抗体が上昇してくる以前の病期からそのようなリンパ球の数が増加してくることがみられた。主にB細胞であるが、それを単離しin vitro抗体産生の調節機序について検討中である。これまで橋本甲状腺炎でのリンパ球からの抗サイログロブリン抗体産生を調べた成績では、B細胞単離で抗体を作る症例、抗原とT細胞とを加えてはじめて抗体産生をみる症例など多様であり、生体での自己抗体産生における免疫病態の相違を反映していると考えられたのであるが、抗原特異的リンパ球を単離できるようになりその分析を一層深める準備ができた。
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[Publications] Takagi,S.;Inada,M.;Okawa,H.;Yata,J.: Clinical and experimental Immunology. 72. 233-237 (1988)
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[Publications] Sekino,T.;Shishiba,Y.;Inozuki,B.;Yata,J.: Clinical and experimental Immunology. 72. 486-492 (1688)
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[Publications] Takase,K.;Okawa,H.;Minato,K;Yata,J.: Leukemia Research. 12. 583-590 (1988)
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[Publications] Minaguchi,J.:Yata,J.: Tohoku Journal of Experimental Medicine. 155. 107-115 (1988)