1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480238
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
沢田 淳 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10079874)
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Keywords | 神経芽腫 / 自然治癒 / 分化 / Nーmyc / 小児悪性固形腫瘍 |
Research Abstract |
神経芽腫(neuroblastoma;NB)の自然治癒の研究において,限局型と進行型の二群におけるNB細胞の生物学的相異点ならびにNB細胞の分化について検討を行った。 1.今年度NBマススクリ-ニングで発見された4例のNB腫瘍は,3例が限局型,1例が進行型であった。Nーmyc増幅・過剰発現はいずれも認めず,昭和63年からの検討結果(NーmycがNBの悪性度・進展度に関連している)に追従した結果を得た。今後も同様の検討をし,デ-タを集積していく必要があると思われた。 2.Nーmycの特性をさらに検討するために,小児悪性固形腫瘍の細胞株(n=31)について,Nーmycの増幅と過剰発現について検討した。12種のNB細胞株中10種(83%)にNーmycの増幅・過剰発現を認めた。一方,PNET(n=4),Ewing肉腫(n=4)とWilms腫瘍(n=4)では,Nーmycの増幅と発現はいずれもみられなかった。網膜芽腫(n=2)および横紋筋肉腫株(n=5)のうち1種で,増幅と過剰発現を認めた。以上より,Nーmycの増幅・過剰発現は,NB株で高率に認められ,NB細胞の特性と密接に関連していることが強く示唆されるが,他の腫瘍株でも認められることよりNB細胞にだけ特異的に認められる現象でないこともわかった。 3.Nーmycは,NB細胞の分化過程にも関与していることは,前年度までの研究により示唆されているが,今年度の成果と合せてNB細胞におけるNーmycの関与をより明らかにするために,今後もNーmycの機能やその調節の仕組みを遺伝子レベル,蛋白レベルで検討していく必要があると思われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 沢田 淳: "小児がんのマススクリ-ニングー神経芽細胞腫ー" 南大阪病院医学雑誌. 38. 1-13 (1990)
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[Publications] 杉本 徹: "神経芽腫の分化誘導;腫瘍生物学的特性と臨床応用の可能性" BIOTHERAPY. 4. 1007-1018 (1990)
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[Publications] 杉本 徹: "α平滑筋アクチンとデスミン陽性ヒト神経芽腫細胞株" 医学のあゆみ. 153. 273-274 (1990)
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[Publications] 杉本 徹: "Granulocyte colonyーStimulating factorがヒト神経芽腫細胞コロニ-形成に及ぼす影響" 医学のあゆみ. 153. 317-318 (1990)
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[Publications] Yasuhide Hayashi: "Characterization of an embryonal rhabdomyosarcoma cell line showing amplification and overーexpression of the Nーmyc oncogene" Int.J.Cancer. 45. 705-711 (1990)
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[Publications] 杉本 徹: "小児固形悪性腫瘍細胞株でのNーmyc増幅と過剰発現" 医学のあゆみ. 156. 239-240 (1991)