1990 Fiscal Year Annual Research Report
加齢によるヒト脂腺構造および皮脂の変化:形態学的および生化学的研究
Project/Area Number |
63480244
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 良夫 新潟大学, 医学部, 教授 (80018291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅章 新潟大学, 医学部, 助教授 (30115000)
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Keywords | 加齢 / 脂腺 / 三次元画像解析 / 電子顕微鏡 / 皮脂 / 脂質分析 / 尿アンドロゲン |
Research Abstract |
各年代の男性のホルマリン固定した正常前額皮膚材料の連続切片を作製し、コンピュ-タで脂腺の立体像を構築し、体積を計測した。その結果、小児では脂腺は小さく、思春期に増大することが認められ、女性と同様であった。しかし、その後の加齢による脂腺の体積変化は女性と異なる結果を示した。すなわち、男性の脂腺は20〜50歳代の間、最大の大きさを継続し、60歳代で漸く縮小傾向を示したが、老齢においては小児よりは大きかった。電顕的には、小さな脂腺の周辺細胞(基底細胞)は扁平であるのに対し、大きな脂腺のそれは立方形で活発な細胞増殖が窺われた。 以上の今年度の結果とすでに得られ報告した前年度までの結果を合わせ、まとめると、今回の研究では、形態学的には脂腺の体績変化および脂腺細胞の微細構造的変化、また、生化学的には皮脂のWE/〔C+CE〕比とC_<16:1>直鎖脂肪酸割合の変化および尿中アンドロゲン量変化を指標として、正常ヒト前額脂腺の加齢による変化を検討した。男女差はあるものの、同性においては各指標が互いにほぼ相関した変化を示した。 本研究によって得られた、正常ヒト脂腺の活動性の加齢による変化に関する結果は、今後、種々の皮膚疾患の発症機序の解明にきわめて有用な基礎的デ-タとなると確信される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yamamoto,A.,Sarizawa,S.,Ito,M.and Sato,Y.: "Effect of aging on sebaceous gland activity and on the fatty acid composition of wax esters." The J.of Investigative Dermatology. 89. 507-512 (1987)
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[Publications] 増子 倫樹: "女性における脂腺の年齢による形態変化" 日本皮膚科学会雑誌. 98. 443-452 (1988)
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[Publications] Yamamoto,A.,Sarizawa,S.,Ito,M.and Sato,Y.: "Fatty acid composition of sebum wax esters and urinary androgen level in normal human individuals." J.of Dermatological Science. 1. 269-276 (1990)
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[Publications] Yamamoto,A.,Sarizawa,S.,Ito,M.and Sato,Y.: "Characterization of human sebaceous gland activity with age." Acta Medica et Biologica. 38. 159-166 (1990)
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[Publications] 池田 和人: "男性における脂腺の年齢による形態的変化" 日本皮膚科学会雑誌. 101.
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[Publications] 佐藤 良夫,伊藤 雅章,山本 綾子,芹澤 重男,増子 倫樹,横山 博之: "「加齢と皮膚」皮脂" 清至書院, 16 (1986)
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[Publications] Yamamoto,A.,Serizawa,S.and Sato,Y: "Cutaneous Aging" University of Tokyo Press, 10 (1988)