1988 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠障害に関与する自律神経系異常の紡錘・デルタ波睡眠図による研究
Project/Area Number |
63480261
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
阿住 一雄 東京都神経研, 心理学研究室, 副参事研究員 (90073056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 修一郎 東京都神経研, 心理学研究室, 副参事研究員 (20100141)
|
Keywords | 紡錘波 / デルタ波睡眠図 / 紡錘波増加期 / 紡錘波修飾期 / 短時間強制覚醒 / 紡錘波出現率 / OSA睡眠感調査票 / 睡眠維持進行 |
Research Abstract |
今回の報告は上記研究課題の初年度のものであり、使用される紡錘波・デルタ波睡眠図に関する正常基準値を確立が研究の中心である。一夜の睡眠経過は従来、視察的に認定した睡眠段階(5段階、そのうち1段階はレム睡眠で、その他の4つの段階と基本的に異質の生理的特色を有する)によって表示された。しかし、われわれはこの睡眠経過を機器によって極めて客観的・定量的な指標を使用して自動的に作成できるものにした。紡錘波出現数パターンと低帯域成分(デルタ波成分)積分値パターンの2つの組合せによって、一つの睡眠周期を3つの睡眠相にわけたのである。すなわち、紡錘波パターンにおけるピークの出現時点までを「紡錘波増加期」、その時点以後を「紡錘波修飾期」さらに紡錘波パターンが最近水準に達し、筋電活動が最も低下した磁気をレム睡眠期と呼ぶことにした。 ここにのべた増加期と修飾期の生理的・心理的特性を明らかにするために、10例の正常男子被験者を用い、一夜に2回、10分間の強制覚醒実験を施行した。11夜のうち、第5夜までを対照実験夜、第6夜は増加期出現中の覚醒負荷、第9夜は修飾期出現中の負荷を与え両睡眠期の負荷に対する反応の差違を分析した。1)増加期の覚醒効果 紡錘波の出現率が次の睡眠周期で増加し、翌朝の睡眠感を我々の作成したOSA睡眠票によって測定すると、5つの因子のうち「ねむけの因子」「気がかりの因子」とで対照値に比べ有意な変動を生じた。2)修飾気の覚醒効果 これに反し、紡錘波の出現率の変動や翌朝の睡眠感への影響は有意な影響を示さなかった。一時的な睡眠の妨害によって増加期のほうが影響をうけ易いことは、この時期が睡眠にとってより重要な意味をもち、恐らく睡眠の進行・維持に関係すると考えられる。これに対し修飾期はその睡眠のスタート前の覚醒の時間や状態により強い影響をうけると考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 阿住一雄、白川修一郎: 脳波と筋電図. 16(2). 189 (1988)
-
[Publications] Azumi,K.;Shirakawa,S.: Neuroscience Res.Supp.7. S191 (1988)
-
[Publications] Shirakawa,S.;Azumi,K.: Sleep Research,BIS.BRI,UCLA. 17. 15 (1988)
-
[Publications] Azumi,K.;Shirakawa,S.;Ishizuka,Y.: Jap.J.Psychiat.Neurol.42(3). 722 (1988)