1989 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン・プロレセプタ-発現によるインスリン抵抗性に関する研究
Project/Area Number |
63480269
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小林 正 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80115758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺岡 宏 塩野義研究所, 主任研究員
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Keywords | インスリンレセプタ- / インスリン抵抗性 / 点突然変異 / 糖尿病 / インスリン誘導体 |
Research Abstract |
点突然変異のためインスリンレセプタ-の生合成の過程でプロレセプタ-からレセプタ-への変換において、切断部位が異常のために切断されずプロレセプタ-のまま細胞表面にレセプタ-として機能した症例について既に昭和63年度に報告した。このプロレセプタ-はインスリン結合能力が低く、このためインスリン作用が障害され、インスリン抵抗性を示し、このため患者は糖尿病として治療されている。平成元年度はこのプロレセプタ-についての機能を詳細に検討した。すなわち、インスリン結合の低下、すなわち親和性の低下を更に詳細に結合特性を検討するため種々のインスリン誘導体(プロインスリン、IGF-I、[Leu^<B25>]-insulin、[Ser^<B24>]insulinなどを使用して競合的結合能を測定した。患者リンパ球をトランスフォ-ムし、その細胞のインスリン結合を、トリプシン処理の前後で測定すると、0.025%の低い濃度のトリプシンではその切断はみとめられプロレセプタ-の210KDaから正常サイズのレセプタ-へと変換される。トリプシン未処理のプロレセプタ-ではプロインスリンやIGF-IなどのC-peptideを有するものは、比較的結合力は正常細胞に比較し、さらに低下していたが、ミニプロインスリン(C-ペプチド部分がアミノ酸2ヶのみ)、[Leu^<B25>]-insulinなどのmutant insulinでは正常細胞と変わりはみられず、プロレセプタ-ではC-ペプチドを有する大きな誘導体は結合が妨げられることが判明した。さらにα-サブユニットからβ-サブユニットへのシグナル伝達を自己燐酸代能の測定で検索したところ、α-サブユニットに結合したインスリンのシグナルは正常に伝えられていることが判明した。したがってα-とβ-サブユニットは結合されているが、そのインスリン結合能の著名な低下に比較して、そのシグナル伝達は分子内では正常であることが分った。
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[Publications] T.Haruta,M.Kobayashi他: "Insulin-like growth factor I receptors on erythrocytes in NIDDM" Diabetes Res.Clin.Practice. 6. 95-101 (1989)
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[Publications] O.Ishibashi,M.Kobayashi他: "W-7 specifically inhibits insulin-induced increase in glucose transport" Diabetes Res.Clin.Practice. 6. 109-113 (1989)
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[Publications] M.Kobayashi他: "Unprocessed insulin proreceptors due to point mutation at the cleavage site" Diabetes Res.Clin.Practice. 7. S35-S39 (1989)
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[Publications] T.Sasaoka,M.Kobayashi他: "Binding specificity and intramolecular signal transmission of uncleaced insulin proreceptor intransformed lymphocytes from a patient with extreme insulin resistance" Diabetologia. 32. 371-377 (1989)
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[Publications] T.Sasaoka,M.Kobayashi: "Unprocessed insulin proreceptors in cultured fibroblasts from a patient with extreme insulin resistance" Metabolism. 38. 990-996 (1989)
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[Publications] M.Kobayashi他: "Transfection of cDNA with G→T point mutation at the clearage site of insulin receptors to COS 7 cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.(1990)
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[Publications] 小林正(分担): "1989、糖尿病学(インスリンプロレセプタ-を呈したインスリン抵抗性糖尿病)" 診断と治療社, 383 (20 ) (1989)