1988 Fiscal Year Annual Research Report
家族性高脂血症モデル動物にみる動脈硬化発症機序と発症予防、進展抑制に関する研究
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63480270
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北 徹 京都大学, 医学部, 教授 (60161460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 治義 京都大学, 医学部, 助教授 (80135574)
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Keywords | WHHLウサギ / プロブコール / 酸化LDL / マクロファージ / 泡沫細胞 |
Research Abstract |
我々は遺伝的に高コレステロール血症及び動脈硬化症を発症するWHHLウサギに抗酸化剤プロブコールを投与することにより動脈硬化症の発生を予防することに成功した。プロブコールの抗動脈硬化作用につき詳細な分子機構の解明を試みた結果以下のことが明らかになった。(結果)プロブコールを投与したWHHLウサギより得たLDL(PーLDL)及び普通食を食べさせたWHHLウサギの血漿より得たLDL(CーLDL)の酸化修飾を検討したところ、0.5μMの銅イオンの存在でCーLDLは容易に酸化を受けたが、PーLDLは酸化修飾を受けず、過酸化脂質定量の指標であるチオバルビツール酸反応物(TBARS)の上昇及びMφの泡沫化が起こらなかった。また、プロブコールがMφの泡沫化を直接抑制するのかどうかを明らかにするためプロブコールを加えた培地でMφと種々のリポ蛋白を共に培養してみたが、βVLDLや酸化LDL、アセチルLDLによるMφの泡沫化はプロブコールの追加による影響を受けなかった。またMφの細胞膜に対する影響を調べるためにプロブコールを食べさせたマウスやWHHLウサギより腹腔Mφを得てリポ蛋白による泡沫化を調べたところ、上記リポ蛋白による泡沫化は抑制されなかった。さらに、プロブコールを取り込ませたMφを用いて同様の実験を行ったが、やはり泡沫化の抑制はみられなかった。以上の結果よりプロブコールはMφのリポ蛋白取り込みや泡沫細胞形成には影響を与えず、LDLの酸化修飾を抑制する効果によりinvivoでWHHLウサギの動脈硬化巣形成を抑制することが明らかになった。Mφが泡沫化にともない産生する化学物質に付いては、我々はすでに酸化LDLがMφのプロスタグランディンE2、ロイコトリエンC4の産生を促す事実を報告しているが、さらに予備実験で酸化LDLがMφのインターロイキン1の産生を促すことを確認した。今後プロブコールによる産生抑制作用を調べていく予定である。(Mφ=マクロファージ)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nagano,Y.;Kita,;T.Yokode,M.;Ishii,K.;Kume,N.;Ootani,H.;Arai,H.;Kawai,C.: Arteriosclerosis.
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[Publications] Arai,H.;Kita,T.;Yokode,M.;Narumiya,S.;Kawai,C.: Biochem.Biophys.Res.Commun.
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[Publications] Kume,N,;Kita,T.;Mikami,A.;Yokode,M.;Ishii,K.;Nagano,Y.;Kawai,C.: Circulation.
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[Publications] Yokode,M.;Kita,T.;Kikawa,Y.;Ogorochi,T.;Narumiya,S.;Kawai,C.: J.Clin.Invest.81. 720-729 (1988)
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[Publications] Kita,T.;nagano,Y.;Yokode,M.;Ishii,K.;Kume,N.;Ooshima,A.;Yoshida,H.;Kawai,C.: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84. 5928-5931 (1987)
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[Publications] Kita,T.;Yokode,M.;Watanabe,Y.;Narumiya,S.;Kawai,C.: J.Clin.Invest.77. 1460-1465 (1987)