1988 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球酵素異常症:ピルビン酸キナーゼ異常症の遺伝子レベルでの病因解明
Project/Area Number |
63480281
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
三輪 史朗 (財)冲中記念成人研究所, 所長 (40034954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 輸血部, 助教授 (70107762)
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Keywords | 赤血球酵素 / ピルビン酸キナーゼ / ピルビン酸キナーゼ欠乏(異常)症 / 溶血性貧血 / 遺伝性溶血性貧血 / 遺伝子 / 染色体 |
Research Abstract |
赤血球ピルビン酸キナーゼ(PK)異常による遺伝性溶血性貧血は解糖系の酵素異常症の中で最も頻度が高く、われわれの研究室で昭和62年迄に61例発見しているが、今年度さらに1例を見出すことができた。PKのアイソザイムにはM_1、M_2、LおよびRの4種があり、野口、田中らのラットによる研究ではこの4種のcDNAのクローニングがなされ、M_1とM_2、LとRはそれぞれ同一の遺伝子から産生されること、R型は赤血球に、L型は肝に存在するが1つのエクソンの相異によることがわかっている。一方、われわれはすでに赤芽球系前駆細胞では分化過程でM_2型からL(R)型への転換がおこるが、白血球や血小板ではM_2のままであることを示した。またわれわれは前年度にヒトのL型PKcDNAの全塩基配列を決めた。本年度はヒトのM_2型PKcDNAのクローニングに成功し、その全塩基配列、M_2型PKの一次構造を決めることができた。M_2型ヒトPKcDNAは5′端に109塩基の非翻訳配列、530コのアミノ配をコードする1593コの塩基配列についで3端に585塩基の非翻訳配列がある。Insituハイブリダイゼーション法により本遺伝子は第15番染色体の長腕g2 2領域に存在することも決めることができた。アミノ配レベルでのホモロジーをみると、ヒトL型PKとの間で70.8%、ラットM_2型PKとの間で96.8%であった。次のステップにそなえて、2例のホモ接合型PK異常症例の網赤血球よりメッセンジャーRNAを得た。またDNAも得た。これは次年度行う予定の異常PK遺伝子の解析に用いるためである。
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[Publications] Kenzaburo TANI;Hisaichi FUJII;Shigekazu NAGATA;Shiro MIWA: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 1792-1795 (1988)
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[Publications] Hisashi TSUTSUMI;Kenzaburo TANI;Hisaichi FUJII;Shiro MIWA: Genomics. 2. 86-89 (1989)
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[Publications] H.SATOH;K.TANI;M.C.YOSHIDA;M.Sasaki;S.MIWA;H.FUJII: Cytogenetics and Cell Genetics. 47. 132-133 (1988)
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[Publications] Kenzaburo TANI;M.C.YOSHIDA;Hitoshi SANTOH;Keiji MITAMURA;Tamio NOGUCHI;Takehiko TANAKA;Hisaichi FUJII;Shiro MIWA: Gene. 73. 509-516 (1989)
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[Publications] K.TANI;H.FUJII;K.TAKAHASHI;H.OGURA;H.KANNO;K.HAYASAKA;K.NARISAWA;T.NAKAHATA;T.AKIBANE;T.MORISAKI;H.FUJII;S.MITA: Amer J Hematology. 28. 186-190 (1988)
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[Publications] E.ROTH;Jr;V.JOULIN;S.MIWA;A.YOSHIDA;J.AKATSUKA;M.COHEN-SOLAL;R.ROSA: Blood. 71. 1408-1413 (1988)
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[Publications] 三輪史朗: "血液の話" 中央公論社, 1-236 (1988)