1988 Fiscal Year Annual Research Report
光照射と生体反応に関する研究-とくに低出力エネルギー光照射による除痛、創傷治癒促進減少の解明-
Project/Area Number |
63480285
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲場 文男 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90006213)
刈田 啓史郎 東北大学, 歯学部, 助教授 (40004600)
前山 俊秀 東北大学, 医学附属病院, 講師 (10133969)
里見 進 東北大学, 医学附属病院, 講師 (00154120)
佐々木 崇 東北大学, 医学部, 講師 (00124579)
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Keywords | 難治性潰瘍 / レーザ光照射 / インコヒーレント光 / 偏光 / ハイドロオキシプロリン / サーモグラム / プロトンNMR / レーザ励起蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
創傷モデルならびに難治性潰瘍に対するレーザー光照射は効果的に創傷治癒を促進することは確実な事実となった。レーザー光のもつ光特性の中で、波長にはあまり依存していないようである。コヒーレントの光はレーザを特徴ずける大きな要因で、インコヒーレント光を使い、偏光特性の検討をした結果、上記モデル及び臨床経験から、無偏光では効果がなく、直線偏光にすると効果があることが判明した。さらに、左右の円偏光の差の検討を行ったとこ、右円偏光で効果があり、左円偏光では無偏光と同様の結果を得た。これらの検討は、主として、創傷モデルで治癒日数の差としてのみならず、抗張力測定、肉芽中のハイドロオキシプロリンの定量がなされ、同様の結果を得た。 光照射が何故、創傷治癒促進に効果的かを検討中であるが、現象面からは、サーモグラム、色素希釈曲線等で、末梢循環の改善が認められている。病理組織学的には、光照射例で新生血管の増生、消褪が、非照射例より早期に認められている。但し、このことは定性的で未だ定量的な研究はなされていない。また、肉芽のプロトンNMRから、肉芽増生時の細胞内自由水と結合水との比が光照射、非照射で異ることから、光照射に伴う細胞の動態の違いを検討する必要がある。 線維芽細胞、リンパ球、癌細胞等の単独細胞に光照射を行い、フローサイトメトリーによるDNA合成を検討したが、今のところ何ともいえない。また、細胞電気泳動をしたところ、G_0G_1、S、G_2Mの細胞周期に分けたとき、光はG_0G_1で刺激的にG_2Mで抑制的に働いているようで、このことをさらに理解するため、レーザ励起蛍光顕微鏡のシステムに細胞形状の分析、運動能の測定を可能とさせた。また、この顕微鏡のCaイオンの動態、ミトコンドリアの染色を可能とさせ、鋭意努力中である。
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