1988 Fiscal Year Annual Research Report
膵管胆道合流形態、活約作用に関する半導体センサーを用いた生理学的研究
Project/Area Number |
63480297
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 庸夫 東北大学, 医学部附属病院, 助教授 (70110658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 敏雄 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20171944)
林 富 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (40125638)
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Keywords | 膵管胆道合流異常 / 先天性胆道拡張症 / 胆道内圧 |
Research Abstract |
膵管胆道の合流形態の異常は先天性胆道拡張症、胆道系の癌の発生に深く関与していると言われている。我々は、これまでもこうした症例に対して数々の形態学的考察を加えてきた。昨年度、本研究費を用いて行った生理学的考察について報告する。 症例(1) 総胆管を切開し、圧センサーを共通管部に挿入して内圧を測定したが総胆管との明らかな差は認めなかった。この後ガストリン・セクレチンの薬物負荷を行ったが、明確な圧変化はみられなかった。 症例(2) 拡張部の胆管より十二指腸へ圧センサーを挿入して「引き抜き圧」を測定した。十二指腸乳頭部部分に幅5mm、圧37mmHgの「高圧帯」をみた。しかしX線写真で確認した「共通管」部分は総胆管と全く同じ内圧を示し、この部分に括約機能の無い事を示唆した。次いで、薬物負荷を行ったが圧変化は認められなかった。 症例(3) 上記症例(2)と同様に「引き抜き圧」を測定した。十二指腸乳頭部には括約筋作用を反映する「高圧帯」を認めるが、「膵管との共通管」の部分は総胆管との間に全く圧差を認めなかった。 症例(4)総胆管よりセンサーを挿入したが、共通管は複雑な合流形態を有していたため、この部分にセンサーを進めるのは不可能であった。そこで、拡張している総胆管部の薬物負荷に対する胆道内圧の変化を測定した。はじめにガストリン静注で6分後に最大4mmHgの内圧上昇を見た。次にセクレチンで、2分後に最大2mmHgの圧低下があった。 以上の所見から、先天性胆道拡張症に於ける膵胆管共通管部分には括約筋作用が欠如しているものと思われる。この事実は本症の発症原因としての、膵液の胆道への逆流現象を示唆するものである。 またこの「逆流現象」を実際に確認するものとして薬物負荷を行ったが、症例数が不充分なため、有為なデータは得られなかった。
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