1988 Fiscal Year Annual Research Report
合成ポリアニオンによる抗がん剤の効果増強に関する研究
Project/Area Number |
63480298
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70114105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆 工業技術院, 繊維高分子材料研究所・第一生体高分子物理研究, 主任研究官
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Keywords | 合成ポリアニオン / 高分子キャリア / コポリマー / 腹膜播種性転移 / BRM(Biologocal Response Modifier) / Drug Delivery System |
Research Abstract |
1.DIVEMA-抗がん剤結合体の合成:テトラヒドロフラン混合溶媒中でラジカル重合開始剤を用い封管中でジビニルエーテルと無水マレイン酸を共重合させてDIVEMAを合成し、酸型DIVEMAの水系GPCにより分子量を決定した。アドリアマイシン(ADR)塩酸塩、及び5´DFURと無水物型のDIVEMAを有機溶媒中でトリエチルアミンを触媒して反応させ抗がん剤との結合体を合成した。この結合体中にADRは32%、5´-DFURは28%含まれている。 2.DIVEMAの生体防御機構に及ぼす影響(DIVEMAの抗がん活性機構):DIVEMA分子量、投与量、投与間隔を変えて非担癌マウスに投与し、腹腔マクロファージ(P-Mφ)及びNK細胞の癌細胞致死効果をYAC-1細胞とEL4細胞を標的として評価した。DIVEMAがP-MφとNK細胞の癌細胞致死作用を増増する。またP-Mφは投与後6日目、NK細胞は3日目に最も増強した。また分子量が大きい程(MW=5600〜120000)少ない投与量(0.1mg〜300mg/Kgで実験)で殺細胞効果が増強する傾向がみられた。P-Mφ活性を抑圧する物質及び抗NK細胞抗体であらかじめ処理したマウスではDIVEMAの効果が出現しなかった。次年度移行は抗がん剤との結合体いついて同様の検討をする。 3.DIVEMA-抗がん剤結合体の抗腫瘍効果の検討:DIVEMAは生体反応を介して抗腫瘍活性を示すので、担癌生体での癌細胞致死効果を細胞レベルで定量的に評価することが出来るTD50法(半数のマウスが死亡するのに必要な癌細胞数を求める方法)で効果を検討した。腫瘍系は、免疫原性の強い線維肉腫(FSaI)と免疫原性の弱い自然発生線維肉腫(FSaII)を同系マウス(C_3H)に移植して実験した。分子量3万のDIVEMAを主に用いたが、50mg/Kg3回投与で99.98%のFSaI細胞を死滅させることが出来た。この用法では副用(体重変化)は認められなかった。OK-432、C-parvum、BCG、Lentinanに比べて極めて高い効果が得られた。抗がん剤結合体については実験中である。また薬物動態学的検討も目下進行中であり成果が挙がりつつある。
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Research Products
(2 results)