1989 Fiscal Year Annual Research Report
合成ポリアニオンによる抗がん剤の効果増強に関する研究
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63480298
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70114105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆 通産省, 工業技術院・繊維高分子材料研究所・第一生体高分子物理研究室, 主任研究官
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Keywords | DIVEMA / 合成ポリアニオン / 抗腫瘍効果増強と毒性低下 / DIVEMA-ADR結合体 |
Research Abstract |
1)合成ポリアニオンであるジビニ-ルエ-テル無水マレイン酸共重合体(DIVEMA)に抗がん剤であるアドリアマイシン(ADR)及び5'-DFURのそれぞれについて、32%と8%、及び29%と7.5%の結合体を合成し、それぞれの毒性並びに抗がん活性について検討した。動物-腫瘍系はC_3H/HCマウス-メチルコラントレン誘発性線維肉腫(FSaI)を用いた。毒性は結合比の高低にあまり影響されなかった。一方、抗がん活性は32%、29%の方が高い傾向を示した。 2)DIVEMA-ADR(32%)のマウスFSaIに対する治療効果 FSaI腹膜播種モデルを用いて、DIVEMA単独、ADR単独、DIVEMA-ADR結合体のそれぞれについて抗がん活性並びに毒性について、生存率並びに体重減少を指標として検討した。DIVEMA単独及びADR単独投与群の120日生存率は25%であるのに対しADR-DIVEMA結合体のそれは、75%と有意に改善した。一方、毒性については薬剤投与後DIVEMAでは平均2.5g、ADR単独では0.8gそれぞれ一週間で体重が増加したが、結合体はそれらの中間の増加(1.7g)を示し、毒性は増強していない事が明らかであった。 3)DIVEMAの抗がん治性発現機序に関する研究 上記2)の動物-腫瘍系を用いて、DIVEMAを非担癌マウスに投与した後NK細胞活性、マクロファ-ジ活性、細胞障害性T細胞活性について、FSaI細胞を標的細胞として測定した。DOSE-RESPONSE、及び活性動態についても検討した。いずれの細胞系においてもDIVEMA投与(ip)により殺FSaI細胞効果の明らかな増強がみられたが、NK細胞活性及びマクロファ-治活性がほぼ一週間で消失したのちT-細胞活性が出現して来ることが判明した。 4)DIVEMA及びDIVEMA-ADR結合体における、DIVEMA、ADRの組織内動態の解析に関する研究、結合体を腹腔内に投与した場合血中ADR濃度は極めて低値にすることが出来る。DIVEMAの体内分布を測定中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 平野隆,大箸信一,轟健,稲葉実,塚越茂: "合成高分子-抗癌剤結合体の癌指向性" 日本臨床. 47. 204-208 (1989)
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[Publications] 平野隆,大箸信一,森本敏,田中芳雄,小林隆弘,轟健,伊藤彬,前田浩,稲葉実,塚越茂: "合成高分子抗癌剤の作用と臨床応用へのアプロ-チ(1)合成高分子-生理活性ハイブリッドの合成" 平成元年度繊維高分子材料研究所研究発表会資料. 190. 105-118 (1989)
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[Publications] 轟健,上田廣,平野隆,大箸信一,河合勇一,岩崎洋治: "合成高分子抗癌剤の作用と臨床応用へのアプロ-チ(2)合成高分子抗癌剤の臨床応用への基礎研究" 平成元年度繊維高分子材料研究所研究発表会資料. 190. 119-131 (1989)
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[Publications] 平野隆,大箸信一,轟健,稲葉実,塚越茂: "合成ポリアニオンの抗癌活性とそのDNSへの応用" 癌と化学療法. 2. (1990)