1990 Fiscal Year Annual Research Report
合成ポリアニオンによる抗がん剤の効果増強に関する研究
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63480298
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70114105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆 工業技術院, 繊維高分子研究所・生体工学部・生体高分子合成研究室, 主任研究官
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Keywords | 合成ポリアニオン / DIVEMA / Drug Delivery System / アドリアマイシン |
Research Abstract |
1)合成ポリアニオン(DIVEMA)ーアドリアマイシン(ADR)結合体におけるDIVEMAのADR薬物動態に及ぼす影響(マウス実験系) DIVEMA(divinyl ether and maleic anhydride)は、ADRを共有結合させることによりADRの薬物動態を著しく修飾できることが判明し、現在最も難治性とされる癌の腹膜播種性転移に対する有効で低毒性の化学療法を開発できる可能性が示唆された。すなわちDIVEMAーADR結合体75mg/kgを腹腔内に投与すると、24時間に亙って腹腔内では約4000ng/m1〜90.2ng/mlの高濃度のADRが滞留する一方、血漿中では対応する全測定点で6ng/ml以下であった。 2)DIVEMAのADR組織内分布に及ぼす影響(マウス実験系) ADRの主な副作用である心筋障害、排泄臓器として重要な腎臓、癌化学療法の障害臓器として重要な消化管の三者について、ADRとDIVEMAーADR結合体を腹腔内に投与し、12時間と24時間後における組織内濃度を比較検討した。ADR投与後12時間では、心筋で1244ng/g、腎臓3396ng/g、小腸3771ng/gであったが、結合体投与では心筋、小腸で測定限界以下、腎臓で327ng/gとなり、DIVEMAを結合する事により癌化学療法剤の臓器障害を軽減出来る可能性が示された。 3)DIVEMAの抗腫瘍活性発見におけるNK細胞(脾細胞)、腹腔マクロファ-ジ、CTLの役割の解明(非担癌マウス実験系) DIVEMAをマウス腹腔内に投与するとNK細胞(脾細胞)、腹腔マクロファ-ジ、細胞障害性T細胞のいずれも、同系マウスに発生した線維肉腫(FSaI)に対し、著明な殺細胞活性が発現した。 4)DIVEMAの肺転移抑制作用 DIVEMA(50mg/kg)を腹腔内に投与すると、マウス尾静脈からFSaI細胞を注入して形成される肺転移形成を有意に抑制する事が判明した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 轟 健、平野 隆、小林 隆弘、河合 勇一、上田 廣: "合成ポリアニオン(DIVEMA)のマウス腹膜播種性に対する抗腫瘍効果" 腫瘍と感染. 1. 187-191 (1988)
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[Publications] 平野 隆、大箸 信一、森本 敏、轟 健、稲葉 実: "アドリアマイシンと無水マレイン酸・ジビニルエ-テル共重合体(DIVEMA)の合成と制癌活性" DDS. 3. 268-273 (1988)
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[Publications] 轟 健、上田 廣、平野 隆、大箸 信一、河合 勇一: "合成高分子抗癌剤の作用と臨床応用へのアプロ-チ(2)合成高分子抗癌剤の臨床応用への基礎的研究" 平成元年度繊維高分子材料研究所研究発表会資料. 119-131 (1989)
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[Publications] 平野 隆、大箸 信一、轟 健、稲葉 実、塚越 茂: "合成高分子一抗癌剤結合体の癌指向性" 日本臨床. 47(6). 204-208 (1989)
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[Publications] 平野 隆、大箸 信一、轟 健、稲葉 実、塚越 茂: "合成ポリアニオンの抗癌活性とそのDDSへの応用" 癌と化学療法. 17(3). 542-547 (1990)
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[Publications] 上田 廣、平野 隆、轟 健、大箸 信一、河合 勇一、塚越 茂、岩崎 洋治: "合成ポリアニオンーアドリアマイシン結合体におけるADR薬物動態" DDS. 6(1). 51-56 (1991)
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[Publications] 上田 廣、平野 隆、轟 健、大箸 信一、河合 勇一、塚越 茂、岩崎 洋治: "合成高分子ポリアニオン(DIVEMA)のアドリアマイシン(ADR)組織内薬物分布に及ぼす影響" DDS.
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[Publications] 河合 勇一、小林 隆弘、轟 健、平野 隆、上田 廣、大箸 信一、野末 睦、岩崎 洋治: "ジビニルエ-テル-無水マレイン酸共重合体(DIVEMA)の抗腫瘍効果の発現におけるNK細胞及びマクロファ-ジの役割" BIOTHERAPY.