1988 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の発生過程における発癌プロモーターとしての胆汁酸の作用機構
Project/Area Number |
63480304
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大柳 治正 神戸大学, 医学部, 助教授 (00030958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正博 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40166822)
高井 義美 神戸大学, 医学部, 教授 (60093514)
斉藤 洋一 神戸大学, 医学部, 教授 (90004803)
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Keywords | 胆汁酸 / 大腸粘膜上皮細胞 / 大腸癌 / ホスホリパーゼC |
Research Abstract |
本年度の研究は2つの点に重点をおいて進められた。1つは、ラット大腸粘膜上皮細胞の培養系の確立であり、未だ胆汁酸の細胞増殖に対する効果を検討し得る安定した培養系が確立し得ておらず、報告すべき実績はあげられていないが、鋭意努力中である。 他の1つは、ラット単離膵腺房をモデル細胞とした、胆汁酸の細胞内情報伝達機構に対する作用の解析である。この点に関しては本年度で新たな知見が得られた。私共は昨年度までに、線維芽細胞における増殖因子によるDNA合成と単離膵腺房における分秘刺激物質によるアシラーゼ分泌が、それぞれ胆汁酸により促進されることを報告してきた。さらにこの胆汁酸の作用が、刺激物質のレセプターへの結合性の変化や、細胞内カルシウム動員の変化によるものではないことを明らかにし、細胞内受容伝達機構のうちのホスホリパーゼC反応の促進である可能性を強調してきたが、その作用点の詳細は不明であった。本年度はこの胆汁酸の作用点について膵単離腺房を用いて解析した。 最近、細胞膜のホスホリパーゼC反応の調節機構にグァニンヌクレオキド結合蛋白質(G蛋白質)が介在することが報告されている。胆汁酸の作用点がこのG蛋白質を介しているかを明らかにする為に、G蛋白質を直接活用化するNaFを用いて胆汁酸の作用を解析した。その結果、胆汁酸はNaFによるアシラーゼ分泌、並びにホスホリパーゼC反応を促進することを見出した。このことより、胆汁酸の作用点はG蛋白質以降のホスホリパーゼC反応であることが明らかになった。この胆汁酸の作用機序は、大腸粘膜上皮細胞の増殖促進においても作動している可能性が高く、本研究の推進をする上で、非常に有意義な情報であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Nakanishi: Biochem.Biophys.Res.Commun.154. 1314-1322 (1988)
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[Publications] H.Ohyanagi;et al.: Am.J.Physiol.
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[Publications] Hoshijima,M.: "Growth Factors,Cell Proliferation and Differntiation" Center for Academic Publications Japan Tokyo,Japan and VNU Science Press BV., 51-68 (1988)
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[Publications] Yamamoto,K.: "Clinica.Chimica.Acta." Elsevier Science Publishers,