1989 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎発病後の膵変化、特に慢性膵炎との関連について
Project/Area Number |
63480306
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土屋 凉一 長崎大学, 医学部, 教授 (70025534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 清昭 長崎大学, 医学部, 医員
前田 治伸 長崎大学, 医学部, 助手 (10211559)
井沢 邦英 長崎大学, 医学部, 助教授 (40124820)
角田 司 長崎大学, 医学部, 助教授 (00110841)
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Keywords | 実験膵炎 / 急性膵炎 / デオキシコ-ル酸 / 慢性膵炎 |
Research Abstract |
急性膵炎発症後の膵病変の推移を検索し、急性膵炎と慢性膵炎の関連性について検討する目的で、雑種成犬の尾側膵管内に10%デオキシコ-ル酸(DCA)を反復注入して、膵内外分泌機能(経静脈的糖負荷試験、セルレインセクレチンテスト)及び病理組織の変化を、経時的に検討した。 DCAの低圧1回注入によって、浮腫性膵炎を発症させた。1週後には、膵小葉間を主体として小葉内へ進展する膠原線維の増生を認めたが、3週後には小葉内の膠原線維は消失し、小葉間に少量残存するのみであった。これに対しDCA毎週1回、4回低圧注入した群は、注入終了後3週目においても小葉内へ進展する膠原線維を認め、8週目になって小葉内ではほぼ消失したが、小葉間には少量ながら膠原線維の残存を認めた。ラ島は膵全体にわたりほぼ正常の形態を示していた。膵内外分泌機能の異常は認めなかった。一方DCA毎週1回にて、4回高圧注入して発生した出血性膵炎を主体とする群は、注入後25週目においても、膵の広範な線維化と実質の脱落及び小葉の孤立化を認め、ラ島は数を減じ膨化傾向を示した。膵内分泌機能は血糖減少率(K値)の低下、IRIの低反応が認められ、外分泌機能は3因子(膵液量、アミラ-ゼ排出量、最高重炭酸塩濃度)低下の傾向を示した。生食水注入群では比較的高圧下の注入にても組織学的に膵炎は発症しなかった。 DCAを犬膵管内へ反復注入することによって発症した急性膵炎の修復過程を検討し、以上の結果を得た。注入回数を多くすることにより膵組織の修復に時間を要することが判明し、また出血性膵炎後の経時的検討では、急性膵炎より慢性膵炎への移行の可能性を示唆する所見を得た。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tsukasa Tsunoda: "Reversal of experimental diabetes in miniature swine by fetal pancreas allografts" Transplantation proceeding. 21(1). 2671-2672 (1989)
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[Publications] 土屋凉一: "膵臓癌の集学的治療" 癌と化学療法. 16(4). 945-950 (1989)
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[Publications] 角田司: "早期膵癌" 日本臨床. 47(5). 1114-1120 (1989)
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[Publications] 山口孝: "膵全摘術" 消化器外科臨時増刊号. 12(6). 939-942 (1989)
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[Publications] 小原則博: "膵癌" 老化と疾患. 2(6). 1361-1366 (1989)
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[Publications] 前田治伸: "膵炎の輸液" 臨床と研究. 66(7). 90-94 (1989)
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[Publications] 前田治伸: "膵炎ー治療ー外科的治療" メジカルビュ-社, 7 (1989)
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[Publications] 土屋凉一: "急性膵炎の診断と重症度の判定" メディカルトリビュ-ン, 4 (1989)