1990 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎発症後の膵変化,特に慢性膵炎との関連について
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63480306
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
土屋 凉一 島根医科大学, 副学長 (70025534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 司 長崎大学, 医学部, 助教授 (00110841)
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Keywords | 実験膵炎 / 急性膵炎 / 慢性膵炎 / デオキシコ-ル酸 |
Research Abstract |
急性膵炎発症後の膵病変の推移を検索し,急性膵炎と慢性膵炎の関連性について検討した。雑種成犬の尾側膵管内に10%デオキシコ-ル酸(DCA)を反復注入して,膵内外分泌機能(経静脈的糖負荷試験,セルレインセクレチンテスト)及び病理組織の変化を,経時的に検討した。 実験群は低圧1回注入群(1),低圧4回注入群(2),高圧4回注入群(3)を作成し,生食4回注入群をコントロ-ルとした。血清アミラ-ゼ値と血清過酸化脂質はDCA注入1日後には上昇したが,以後暫時減少して1週後にはほぼ正常値を示した。CSテストで実験群(3)で総膵液量,アミラ-ゼ排出量,最高重炭酸塩濃度共に低値を示す傾向にあったが,他の群はコントロ-ルとの差は認めなかった。経静脈的糖負荷試験では,血糖消失率,IRI共に実験群(3)のみ著明に低下していた。病理組織学的には実験群(1)ではDCA注入1週後には,膵の小葉間を主体とした膠原線維の増生を認めたが,3週後にはほぼ消失した。実験群(2)ではDCA注入終了後1週目は実験群(1)とほぼ同様の所見であったが,膠原線維の増生の程度が広範かつ高度であった。3週目になると膠原線維の増生程度は減弱し,8週目では小葉内の膠原線維は消失したが,小葉間にはなお残存していた。実験群(3)ではDCA注入終了後16週目において,膵全体にわたり広範に膠原線維が増生し,膵の小葉は完全に結合組織によって置換されたものや,萎縮して島状に残存したものも観察された。 DCAを犬膵管内へ反復注入することによって発症した急性膵炎の修復過程を検討し,以下の結果を得た。注入回数を多くすることにより膵組織の修復に時間を要することが判明し,また出血性膵炎後の経時的検討では,急性膵炎より慢性膵炎への移行の可能性を示唆する所見を得た。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 角田 司: "急性膵炎の外科治療" 腹部救急診療の進歩. 10. 90-94 (1990)
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[Publications] 前田 治伸: "重症急性膵炎の後期合併症の診断と治療" 日本臨床. 48. 195-200 (1990)
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[Publications] 松元 定次: "膵仮性嚢胞の治療と成績" 膵臓. 5. 137-139 (1990)
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[Publications] 浦 一秀: "膵嚢胞の手術" 外科治療. 62. 870-872 (1990)
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[Publications] 松崎 純宏: "抗生物質の膵液への移行ーLMOX(Latamoxef)について" 胆と膵. 11. 1055-1059 (1990)
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[Publications] 前田 治伸: "急性膵炎発症後の膵変化ー特に慢性膵炎との関連について" 病態生理. 9. 830-831 (1990)
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[Publications] 松尾 繁年: "消化器病セミナ-39重症急性膵炎:診断と治療の進歩" へるす出版, 16 (1990)