1988 Fiscal Year Annual Research Report
血行性転移癌細胞膜成分に対するモノクローナル抗体を用いた転移抑制に関する研究
Project/Area Number |
63480309
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
島津 久明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30010242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 喬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00030891)
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60117471)
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20082282)
高尾 尊身 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (80171411)
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Keywords | 血行性転移 / 細胞膜成分 / モノクローナル抗体 / 内皮細胞 / 基底膜 |
Research Abstract |
最近開発された人工基底膜Matrigel上にヒト内皮細胞を培養、その上に癌細胞を播腫し、できるだけ生体に近いin vitroでの癌浸潤モデルの作成を目的として、研究を進行中である。 ヒト臍帯内皮細胞のDish上での初代培養法を確立した。すなわち、生後24時間以内の臍帯を用い、Type I collagenaseによる酵素法にて内皮細胞を採取した。培養用Mediumは、Flow Laboの199を使用した。培養細胞は単層の敷石状配列を呈し、間接蛍光抗体法にて第VIII因子の存在がみとめられ、血管内皮細胞であることが確認された。次に、この内皮細胞を利用して人工基底膜Layer(Matrigel 1mm layer)上での内皮細胞の培養を試ているが、現在のところ細胞の十分なシート上の増殖を認めず、実験進行中である。 これと並行して、当教室にてcell line化した癌細胞を直接人工基底膜layer(Matrigel lmm layer)上にまき、基底膜への癌細胞の経時的な浸潤形態を観察した。観察は浸潤方向に平行な薄切片をつくり、HE染色を施行、光顕的に行った。1日目に基底膜上に接して存在した癌細胞は、2日目頃より基底膜内への浸潤を開始し、5日目には、ほぼ完全に基底膜内に侵入埋没した。これは、癌細胞のin vitroでの浸潤モデルとして、有用と考えられた。今後、正常細胞および移転能が異なると考えられる数種の癌細胞について実験を行い、基底膜への浸潤形態を比較検討する予定である。 また、癌細胞浸潤モデルの培養液中のコラゲナーゼ活性を測定し、癌細胞の浸潤能とコラゲナーゼ活性との関連を検討する予定である。HPLCを用いた上記培養液の成分分析も試みているが、いまだ結果は得られていない、なお、当教室で作成した皮下移殖にて肺転移を示すヌードマウス可移植ヒト胃癌株を用いて基底膜上での培養を試みている。
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