1988 Fiscal Year Annual Research Report
人工脂質膜小胞リポソームを応用した癌化学療法への腫瘍選択性向上に関する研究
Project/Area Number |
63480310
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石引 久弥 慶應義塾大学, 医学部外科, 助教授 (10051236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平畑 忍 慶應義塾大学, 医学部外科, 助手 (40189858)
熊井 浩一郎 慶應義塾大学, 医学部外科, 助手 (30101984)
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Keywords | Fabフラグメント化モノクローナル抗体 / F(ab')^2フラグメント / アドリアマイシン封入リポソーム / CDDP系薬剤入りリポソーム |
Research Abstract |
1.フラグメント化モノクローナル抗体結合によるアドリアマイシン封入リポソーム(LIP-AFP)の網内系補足対策とターゲテイング効果 抗ヒトα-fetoprotein(AFP)モノクローナル抗体(19-F-12)をペプシン処理し、F(ab')^2フラグメント化をはかったが、本抗体がIgG_2bであり、SDS-PAGEによる検討ではFabであった。このFabフラグメントの抗体活性は、酵素抗体法による検討は処理前の抗体(Ab)とほぼ同等であった。Fc除去の目的のひとつである網内系対策は、Fabフラグメントを結合したLip-ADM=Fabは、Ab結合のLip-ADM=abに比し肝、脾への取り込みが減少した。一方の目的である抗腫瘍効果は、ヌードマウスシステムのAFP産生性ヒト肝癌株Li-7に対し、LiP-ADM=FabはLiP-ADM=Abと同等以上の増殖抑制を示した。現在、抗腫瘍効果増強のためF(ab')^2フラグメント化が可能なIgG_1抗体について検討を行っている。 2.アドリアマイシン封入・温度感受性リポソーム(TS-LIP-ADM)の改良と抗腫瘍効果 相転移温度が41°Cであるdipalmitoylphosphatidylcholine(DPPC)により作製したリポソームは、42°Cにピークを有する温度感受性薬剤放出を示し、局所加温したヌードマウス可移植ヒト肝癌株NUEに対し、非加温の場合に比し、ADMの腫瘍集積性と抗腫瘍効果の向上を示したが、DPPC単独では、in ViVOでの剤型の安定性が不十分であることから、コレステロール混合によるリポソームの血清中での安定化をはかった。 コレステロール20mol%混合までは温度感受性が保持されることを確認したが10mol%の至的混合によるTS-LiP-ADMを用い、AH66肝癌株を標的としたラットの実験系で抗腫瘍効果増強を得た。 3.Cisplatin(CDDP)系薬剤のリポソーム封入 CDDPおよび誘導体NK-121の封入を行い毒性軽減の検討を予定している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 熊井浩一郎: 臨床外科. 43. 1755-1764 (1988)
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[Publications] Toshio Tomita,: Biochmilca et Biophysica Acta. 978. 185-190 (1989)