1989 Fiscal Year Annual Research Report
脳微小血管内皮細胞の培養と脳虚血の病態解析への応用
Project/Area Number |
63480326
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 隆一 新潟大学, 脳研究所, 教授 (30018816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 哲雄 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (20158893)
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Keywords | 内皮細胞 / 脳血管 / 培養細胞 / 透過性 / プロスタグランジン |
Research Abstract |
平成元年度に達成できた研究実績について以下に述べる。脳血管透過モデルの作製を試み、内皮細胞の透過性を亢進させる物質の検索を行った。砂ネズミの脳微小血管由来培養内皮細胞(第45-50代)を、コラ-ゲン(type 1)でcoatingしたmesh上に培養し、この三者から形成される膜の透過性を検討した。透過物質としてはMEMに溶解したFITC-albumin(bovine)を用いた。さらに、37℃の代りに0℃の状態としたもの、あるいはMEMの代りにPBS(+)としたものと比較した。次に、内皮細胞の透過性を亢進させる物質を検索した。cyclooxygenase系の代謝産物としてはプロスタグランジンE_2とF_<2α>,lipoxygenase系では、15-HPETEとロイコトリエンC_4そしてアラキドン酸を各々上室に加え、2時間後に下室に透過したalbuminを定量した。次に結果を述べる。内皮細胞はalbuminの透過率をcontrolの1/50以下に抑制した。条件を0℃とPBS(+)としたものでは、透過率は有意に抑制された。プロスタグランジンE_2、プロスタグランジンF_2αそしてアラキドン酸と内皮細胞の透過性に変化を与えなかった。15-HPETEは、1と0.1μg/mlの濃度で有意に透過性を亢進させた。また、LTC_4はlμg/mlの濃度で著明に透過性を亢進させた。以上の結果から、我々が作製した脳血管透過モデルは、albuminに対してbarrierとしての機能を有していることが判明した。透過は、0℃の低温状態とMEMの代りにPBS(電解質のみを含む緩衡液)を使用した場合に、著明な迎制を受けることから、主としてenergy dependentなものと考えられた。脳の血管内皮細胞の透過性を亢進させる物質として、アラキドン酸代謝物が推定されているが、その中でもlipoxygenase系の代謝産物であるロイコトリエンC_4が原因物質として最も疑われた。本モデルは、脳血管の透過性を亢進、あるいは抑制する物質の検索に有用と考えられた
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