1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480330
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
児玉 南海雄 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40004999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 達也 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00153990)
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Keywords | 磁気刺激 / 運動誘発電位 |
Research Abstract |
磁気刺激による運動誘発電位の臨床応用を目的に、動物実験および運動麻痺患者における記録を試みた。 まず、雑種成犬を用い、頭皮上から磁気刺激装置にて運動領野近傍を刺激し、脊髄硬膜外にカテ-テル電極を挿入して運動誘発電位を測定した。また、運動領野の皮質の電気刺激による運動誘発電位も同時に測定し、磁気刺激で得られた電位と比較検討した。その結果、磁気刺激、電気刺激ともに2相性の電位が再現性良く認められた。潜時はほぼ同一であったが、波形は同一ではなく、刺激部位の相違を反映しているものと考えられた。さらに、脳幹部腹側の皮質脊髄路を電気凝固して運動誘発電位の変化を比較検討したところ、2相性の電位は、不変のものと、電位の低下を示すものがあり、一定の傾向を示さなかった。この2相性の電位は、錐体路以外の下行性の成分も関与していることを示唆していた。 臨床応用として運動麻痺を有する患者において磁気刺激による運動誘発電位の測定を試みた。頭皮上から磁気刺激を行い、両側の母指球筋から筋電図を記録した。中枢性の運動も麻痺患者では潜時の延長は認められなかったが、末梢神経障害患者では麻痺側で潜時の延長を認めた。本法による運動誘発電位の測定は、末梢神経障害における運動機能の評価に有用である可能性が示唆された。 以上のごとく、磁気刺激は非侵襲的に運動誘発電位の記録が可能であったが、臨床応用に際しては、刺激部位および伝導路のより正確な把握が必要と考えられた。
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