1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480348
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
日地 康武 鳥取大学, 医学部, 教授 (90094101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 修 鳥取大学, 医学部, 助手 (20108799)
井元 敏明 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70037331)
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Keywords | ザリガニ巨大神経 / プロカイン / 局所麻酔 / 麻酔増強効果 / 吸着率 / 脱着率 / 臨界吸着比 / モノカルボン酸イオン |
Research Abstract |
ザリガニ巨大神経膜に対する局所麻酔薬プロカインの吸着は、ラングミュア型の吸着反応を示しており、その吸着率、脱着率、更に吸着量の濃度依存性から、最大可能吸着量と麻酔発現に必要な最小量が求められた。 これによると、最大可能吸着量の45%(臨界吸着比)で電気生理学的な麻酔が発現していることが明らかになった。ところが、最大可能吸着量は約40μmol/gで、臨界吸着比が45%であることを考えると、麻酔発現時には神経膜面積の半分近くが麻酔薬分子で覆われることになる。 一方、麻酔増強効果を持つモノカルボン酸イオンの存在下では、プロカインの神経膜に対する吸着率が増加し、脱着率が減少する傾向がみられたが、特に臨界吸着比の低下が顕著であった。即ち、添加したモノカルボン酸イオンの炭素鎖が長くなるにつれて、より少量の麻酔薬が神経膜に吸着すれば麻酔が発現する。芳香族カルボン酸では、この麻酔増強効果が更に大きく現れた。 また、ジカルボン酸、スルフォン酸等の添加では、電気生理学的な麻酔増強効果が認められなかったが、今回の紫外吸収を利用した実験結果からも、プロカインの神経膜に対する吸着率、脱着率、臨界吸着比のいずれも変化しないことが判明した。 以上の結果は、局所麻酔薬並びに麻酔増強効果を有するモノカルボン酸イオンの神経膜に対する作用機序がNaチャンネルに対する特異的なものではなく、周囲のリン脂質を通じた相互作用を考慮しなければならないことを示唆している。この考え方にそって、Naチャンネルについてのより分子論的な検索を行なう為に、現在ツメガエル卵を膜電位固定して、膜電流の変化を観測すべく準備を進めている。
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