1988 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法による膀胱癌の組織異型発現過程の解析
Project/Area Number |
63480357
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 哲郎 秋田大学, 医学部, 助教授 (40004642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 昌宏 秋田大学, 医学部, 助手 (70162229)
綿貫 勤 秋田大学, 医学部, 教授 (30004550)
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Keywords | 膀胱癌 / 組織異型 / DNA合成細胞 / 遺伝子 / 分化 |
Research Abstract |
膀胱癌の予後を規制する生物学態様は、組織形態学にみると細胞自体の形態(異型度)が細胞の配列(構築)に投映され、その結果として形成される組織異型によって特徴づけられることを明らかにした。すなわち予後良好群に属する腫瘍は、正常尿路上皮にみられる細胞分化様式と同様の細胞構築を保持するのに対して、予後不良群の腫瘍にはこのような規則性がほとんど認められなかった。しかも当該腫瘍に随伴する上皮内癌(CIS)においても主病巣と同様の細胞構築がみられたことから、組織異型は発癌過程のかなり早期から発現すると考えられた。 このような組織異型は各腫瘍の増殖動態をも特徴づけて、これが生物学態様に反映される可能性が大きい。そこでBrdu標識法によってDNA合成細胞の組織内分布様式を検討した。その結果、(1)腫瘍組織では正常上皮に比して明らかにDNA合成細胞が増加し、しかも組織異型に比例して増加する。(2)組織異型の軽度である乳頭状癌とbroad front invasion型非乳頭状癌では、DNA合成細胞の規則的分布がみられる、(3)これに対して組織異型の強いtentacular invasion型非乳頭状癌では、DNA合成細胞の分布が失われている、(4)各腫瘍に随伴するCISでも、それぞれ同様のDNA合成細胞分布様式がある、ことが認められた。 以上の所見は、膀胱癌の悪性度の指標である組織異型は細胞分化と密接な関係をもち、それが増殖動態をも特徴づけることも強く示唆している。このような組織異型の発現過程においては、当然のこと乍ら各種遺伝子の関与様式に変動が生ずるものと考えられる。今年度は、この点に焦点をしぼって研究を進める計画である。
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[Publications] 守山正胤 他: 日本癌学会第47回総会記事. 367 (1988)
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[Publications] 守山正胤 他: 日本泌尿器科学会雑誌.
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[Publications] 守山正胤 他: 日本泌尿器科学会雑誌.