1988 Fiscal Year Annual Research Report
勃起のメカニズムに関する研究:サルおよびヒト陰茎の血管構造と血流動態について
Project/Area Number |
63480359
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
狩野 健一 新潟大学, 医学部, 助教授 (50018686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 等 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (60171518)
|
Keywords | 勃起 / イヌ / 勃起神経 / 電気刺戟 / 陰茎動脈および陰茎内動脈の血流の変化 |
Research Abstract |
陰茎血管の血流は勃起時および非勃起時に変化することが知られている。しかし、陰茎動脈、陰茎深動脈、陰茎背動脈および球海綿体動脈の各々の血流変化については殆んど知られていない。そこでこれらの血流の変化に関する実験を行った。 方法:電磁血流計を用いてイヌ陰茎血管の勃起時および非勃起時の血流の変化を調べた。勃起は勃起神経を刺戟して起させた。 結果および考察:陰茎動脈の血流は非勃起時には血管の太さに比して少なかった。この事実は非勃起時血液はバイパスを通るというコンチの説を間接的に否定している。しかし、勃起の開始に先立って血流は急速に増加して元の値の数倍から十数倍にもなった。その後血流は一定になり、刺戟を中止すると血流は徐々に低下して元のレベルに迄下った。陰茎深動脈は勃起神経の刺戟により急速に血流が増加した後減少し始めた。そして陰茎海綿体が強直すると血流はなくなるが、一定の時間毎に僅に血液が流入した。この事実は陰茎海綿体が強直した時には陰茎海綿体内の血流は体循環から遮断されるという説に反することになる。陰茎海綿体に血流が流入すれば同じ量の血液が流出すると考えられるが、それに関することの解明はこれから行う予定である。陰茎背動脈および球海綿体動脈の血流は勃起の開始にして増加し、その後ほぼ一定になり極端に減少することはない。尿道海綿体は陰茎海綿体のように強直は起さなかった。 まとめ:勃起に際し陰茎血管の血流は増加したが、強直状態になると陰茎深動脈のそれは極端に減少した。
|