1988 Fiscal Year Annual Research Report
女性生殖現象におけるカルシウム代謝の意義に関する基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
63480368
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
望月 眞人 神戸大学, 医学部, 教授 (80030922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 康夫 神戸大学, 医学部, 助手 (20168636)
出口 正喜 神戸大学, 医学部, 助手 (70163938)
丸尾 猛 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60135811)
森川 肇 神戸大学, 医学部, 講師 (30030894)
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Keywords | Ca / 肝細胞 / IGF-I / 妊娠高血圧症 / 骨密度 / 加令 |
Research Abstract |
I.胎児発育機構に及ぼす成長因子と細胞内Caに関して:本年度は、当初の細胞内Ca測定装置の納入が遅れたため、本分野では主に初代ラット肝細胞培養系を用いてのIGF-1の産生分泌機構とそれに及ぼす諸因子の影響に関する検索を行った。その結果、培養肝細胞からのIGF-I産生にはGHやインスリンといった内分泌性因子以外に、グルコース自身が促進的作用を有している事実が明らかとなった。現在は肝細胞あるいは線維芽細胞をマイクロキャリアーで培養することで細胞内Caを補促する検討を行いつつある。II.妊娠高血圧症の病態とCaに関して:【○!1】Ca代謝と密接な関連をもつNa調節因子であるhANPは重症妊娠高血圧症においては、昇圧刺激、食塩負荷刺激の際、正常妊婦にみられるほど分泌が亢進しないことが判明した。【○!2】妊娠には非妊時に比し血圧は一般に低いが、血小板細胎内Caの測定では、正常妊婦の方が正常非妊婦よりも高い傾向が得られた。現時点において妊娠中の血圧調節機構と細胞内Caの関連を血小板をもって論ずることは困難といわざるを得ない。III妊娠産褥・閉経ならびに合併症妊娠におけるCa動態の分析:本課題に関して本年度は加令に伴う婦人の骨密度動態におけるCa代謝と性ステロイド代謝との相関に関する検討を行った。その結果、加令に伴う骨密度の減少はPTHの増加とCTの低下による骨吸収作用の増大に加えて、エストラジオール、DHEA、DHEA-Sなどの減少の関与が示唆されるに至った。 以上に述べたごとく、当初計画した3つの本年度の研究計画はほゞ予定通りに進行したが、血小板内および細胞内Ca動態の測定に関しては、血小板での成績が当初予測した結果と若干異っていたため現在なお基礎検討を継続すると共に、血小板以外の細胞における検討を平行して行っている次第である。
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[Publications] 藤井良造: 日内分泌誌.
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[Publications] 船越徹: 日内分泌誌. 64.
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[Publications] 山崎敦子: 日内分泌誌. 64.
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[Publications] 武内享介: 日内分泌誌. 64. 1175-1186 (1989)
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[Publications] 武内睦子: 日内分泌誌. 64. 489-505 (1988)
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[Publications] 船越徹: 日内分泌誌. 65. 99-112 (1989)
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[Publications] 山崎峰夫: 妊娠時の血圧調節機構とその病態生理.