1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480376
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Research Institution | Akita University School of Medicine |
Principal Investigator |
戸川 清 秋田大学, 医学部, 教授 (40009444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 永子 秋田大学, 医学部, 助手 (90006734)
花沢 秀 秋田大学, 医学部, 助手 (20125735)
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Keywords | フィブリン糊 / 顔面神経吻合 / 基礎的・臨床的研究 |
Research Abstract |
1)モルモット顔面神経頬骨・眼瞼枝を選択的に切断後、(a)10ー0ナイロン糸の三針epineural suture群30匹と(b)加熱処理フィブリン糊(Tisseel)による神経吻合群33匹で術後20週目までの回復経過を観察した.経過の評価には眼輪筋誘発筋電図検査及び誘発による眼輪筋収縮力試験を用いた。結果;両群の回復経過は、3、4、6、8、12、16、20週のいずれの時点でも有意の差が認められず、従って(b)群フィブリン糊による顔面神経吻合でも、機能的、電気生理学的に従来のナイロン糸による縫合法に匹敵する効果が得られることがわかった。 2)上記1)の4、8、12、16週の群で吻合部分を組織学的に検索した。結果;HematoxylinーEosin染色では(a)群では縫合ナイロン糸周囲に異物反応を伴っていたのに対して、(b)群では第4週の時点でフィブリン糊が完全に吸収されており、異物反応を認めなかった。Bodian染色およびToluineーBlue染色による軸索再生状況は、両群共に同様であった。フィブリン糊は吻合部を通しての軸索再生過程を障害せず、完全に吸収されること、手術手技の簡略化や、神経に与える外科的侵襲の軽減等の利点を考えるとナイロン糸と比較してより理想的な吻合材料であると言える。 3)臨床応用例(55例)術後感染、皮膚瘢痕のケロイド化、術後肝機能障害等は認められず、人工的な生体接着剤として充分安全に使用できる。適用組織として骨膜、粘膜、皮膚、筋肉、骨、神経、血管、筋膜の他、セラミックス人工骨、ハイドロキシアパタイト等があった。使用方法としては、接着及び固定、止血、充填内腔置換、漏洩防止等があった。使用条件により数例無効の症例があったが、全体として比較的良好な結果が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 花沢 秀,西平 茂樹,島田 佳代子,戸川 清: "摘出標本からみた耳下腺悪性腫瘍における顔面神経切断の可否" 口咽科. 2. 29-38 (1990)
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[Publications] 吉野 泰弘,西平 茂樹,石川 和夫,戸川 清: "フィブリン糊を用いた顔面神経吻合の基礎的研究" Facial N.Res Jpn. 10. 203-206 (1990)
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[Publications] Kiyoshi Togawa,Shigeki Nishihira,Shigeru Hanazawa and Soichiro Miyazaki: "Management of the facial nerve in parotid tumor surgery" Facial Nerue. 491-494 (1990)
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[Publications] 花沢 秀,今野 昭義,西平 茂治,岡本 美孝,島田 佳代子,戸川 清: "電磁血流計を用いた前腕皮弁の血流量の検討"
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[Publications] 吉野 泰弘: "加熱処理フィブリン糊を用いた顔面神経吻合の基礎的研究"