1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480380
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 康夫 広島大学, 医学部, 教授 (30033963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工田 昌也 広島大学, 医学部, 助手 (00179590)
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Keywords | 内耳 / 複合糖質 / 前庭器 / グライコカリックス / レクチン / 微細構造 / 内リンパ水腫 / 感覚毛間連結 |
Research Abstract |
本年度は昭和63年度、平成元年度に引き続いて前庭特殊細胞に於ける複合糖質の生成とその意義を明らかにする為に最初に、内耳に存在する複合糖質の種類とその分布を4種類のlectinーgold(WGA,Con A,APA,LFA)を使用し電顕レベルでの観察を行った。その結果、WGAは感覚細胞のグライコカリックスおよび感覚毛連結繊維を強く標識し、Con A,APA,LFAは感覚毛連結繊維をより特異的に標識することが明らかとなった。さらに、耳石膜、クプラは4種類のレクチンのいずれでも強く標識された。以上の事から感覚細胞のグライコカリックスにはNーアセチルグルコサミンが多く含まれ感覚毛連結繊維にはNーアセチルグルコサミン、マンノ-ス、ガラクト-ス、シアル酸が含まれていることが明らかとなった。これらに加えて、支持細胞と感覚細胞のグライコカリックスにはその分布に差があることを確認した。 更に、めまいモデル動物として、内リンパ嚢破壊モルモットを作製し、グライコカリックスの変化を走査電顕にて観察した結果、内リンパ水腫が長く継続すると前庭器、特に球形嚢でのグライコカリックスが減少しその結果、感覚毛連結機構の変性、tipーlinkの変性といった様々な変化が生じる事が明らかとなった。 これらの結果は27th Workshop On Inner Ear Biology(June,1990)ならびに第38回日本基礎耳科学会(1991年2月)にて報告した。 以上の本年度に得られた結果と過去2年間の結果とを併せて前庭特殊細胞における複合糖質の生成とその意義についてまとめた。
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[Publications] 原田 康夫他: "ヒト前庭器感覚毛間連結機構の走査電顕的観察" Epuilibrium Research. 49. 181-184 (1990)
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[Publications] Yasuo Harada et al.: "Threeーdimensional ultrastructure of Cochlea" Adv Otorhinolaryngol. 45. 49-68 (1990)