1990 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部悪性腫瘍における免疫組織学的研究(特に局所免疫動態の解析について)
Project/Area Number |
63480383
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
森田 守 自治医科大学, 医学部, 教授 (00048969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 耕 自治医科大学, 医学部, 助手 (60213154)
藤本 泰幸 自治医科大学, 医学部, 助手 (80209105)
五十嵐 丈人 自治医科大学, 医学部, 助手 (30201304)
石田 孝 自治医科大学, 医学部, 講師 (10151375)
宮田 守 自治医科大学, 医学部, 講師 (50159175)
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Keywords | 上顎洞癌 / 三者併用療法 / 非ホジキンリンパ腫 / 病理組織検査 / 免疫組織検査 |
Research Abstract |
平成2年度は上顎洞癌三者併用療法における腫瘍および周囲間質の組織学的検討を主として行った。1986年以後に治療した上顎洞扁平上皮癌新鮮例34症例につき、動注・照射療法中洞内より経時的に採取した生検標本,および根治手術時の摘出標本から,腫瘍細胞の変性粂向,間質反応細胞の質的・量的変動を検討した。治療開始時の間質細胞浸潤は高分化癌に著明な傾向にあった。細胞浸潤は併用療法中は一時的に抑制される傾向にあるが,細胞浸潤が強くみられる例では,根治手術時に下里分類III度以上の変性をみるものが多い。手術標本でIII度以上の変性度を生じたものは,高分化および低分化癌よりも中等度分化癌(Gr.2,3)に多く認められた。T分類の進行により腫瘍組織の変性度は低下するが,ことにT4症例では動注・照射中の生検標本で高度の変性がみられても,手術標本ではIIb以下のものが多く根治手術の必要性を示すものと考えられた。動注・照射終了後2ないし4週間目に根治手術も行ったが、2週間目よりも4週目に行った症例の方が組織効果もよく予後も良好な傾向にあった。免疫組織化学的検査を行ったのは8例,32検体であったが,保存状態,技術上の問題もあって残念ながら当初の目的を達成することが出来なかった。現段階では間質細胞浸潤の強度なものに主としてT細胞が多くみられ,B細胞は少なかった。T細胞が著明に集積している部位では,T_<H/I>,T_<S/C>の集積も認められたが,腫瘍細胞の変性度との関係,動注・照射の時期との関係には今後の検討に残された。 悪性リンパ腫については引き続き予後の追跡も行ったが,過去の症例では放射線治療を先行して再発死亡している症例が少なくないのが、予後も不良にしている原因と考えられた。 現在は組織分類,病期分類も十分参考にし、化学療法を主体とした適切な治療法を選択することにより、予後は改善の傾向にある。
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