1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480385
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神崎 仁 慶應義塾大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (00051441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 茂雄 慶應義塾大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (10177131)
國弘 幸伸 慶應義塾大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (10170010)
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (00169179)
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Keywords | 聴神経腫瘍 / 聴覚障害 / 虚血性内耳障害 / 蝸牛血流 / フマル酸プロビンカミン / ニセルゴリン / 低温 |
Research Abstract |
聴神経腫瘍による聴覚障害の病態を明らかにし、聴神経腫瘍の聴力保存手術成績を向上させることを目的として、今年度は以下の実験を行なった。 1.蝸牛循環に対する血管拡張剤の影響,特に蝸牛各回転別での影響の違いを明らかにするために、フマル酸プロビンカミン,ニセルゴリン投与時の蝸牛循環動態をレ-ガ-ドプラ-血流計を用いて測定した。フマル酸プロビンカミン(2.5〜10.0mg/kg)投与により、蝸牛血流,全身血圧はともに上昇したが、蝸牛血流の変化は基底回転に比べて頂回転で大きい傾向が認められた。ニセルゴリン(25〜400ug/kg)投与による全身血圧は,投与直後に低下し,その後上昇する傾向を示したのに対して、蝸牛血流には明らかな変化は認められなかった。なお,各薬剤投与時の蝸牛電気反応には明らかな変化はなかった。 2.低温負荷により蝸牛の不可逆的障害が軽減されるかどうかを昨年度より継続して検討した。局所的低温負荷時の蝸牛血流の変化としては、外リンパ温22℃で蝸牛血流は約50%まで減少し,負荷解除後1.5分で約150%に増加し、負荷解除後平均約10分で負荷前の値まで回復した。低温負荷時の蝸牛神経活動電位は負荷後約70秒で消失し、負荷解除後約12秒で出現,その後負荷前の値に戻るまで約2分を要した。anoxta負荷時の蝸牛血流、蝸牛神経活動電位の変化を低温負荷群と非負荷群とで比較すると低温負荷群で回復が良好である傾向が認められた。 以上の結果より、低温負荷により蝸牛の不可逆的障害が軽減される可能性が示唆されたが、薬剤による影響に関しては更に詳細な検討が必要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)