1989 Fiscal Year Annual Research Report
眼血液関門(BRB)構成機構としての細胞膜特異性に関する研究
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63480394
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 雅子 京都大学, 保健診療所, 助手 (50201687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安渕 幸雄 京都大学, 医学部, 助手 (70210276)
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Keywords | tracer / 脈絡膜血管 / 網膜毛細血管 / 凍結超薄切片 / cationized ferritin / anionized ferritin / 細胞膜表面荷電 |
Research Abstract |
1.同一分子量で、荷電の異なるmicroperoxidaseあるいはhorseraddish peroxidase isoenzymeの静脈内投与を行い、その脈絡膜および網膜毛細血管における透過性について、酵素組織細胞化学的電子顕微鏡観察を行った。その結果非常に興味あることに、同一分子径であっても、陰性に荷電していると明らかに毛細血管を透過する速度が遅延することが判明した。さらに各種分子径が異なるtracerを用いた実験から、その傾向はたとえ分子径がより小さい物質についても同様であるという結果を得た。 2.そこで脈絡膜および網膜毛細血管内腔および外腔の細胞膜荷電を観察するため、昭和63年どに購入した凍結超薄切片作成用クライオキットを用いて急速超薄切片下でのcationized ferritinおよびanionized ferritins等charge markerを結合させて、その分布密度の観察を行った。網膜毛細血管内皮細胞では、管腔内は陰性に強く荷電する傾向があるが、反管腔側細胞では陽性荷電末端も多く存在することが明らかとなった。しかし、脈絡膜毛細血管では管腔および反管腔側細胞とも陰性の荷電末端が多く配列していることを突止めた。 従って、分子径以外にも細胞の膜荷電等の状況によっても物質の透過性が影響されることは明らかであり、当初われわれが予想していたように、第三のbarrier機構、つまり通しにくいものや通しやすいものが一定の規則性を持って区別され、しかもそれが組織の部位によって異なる可能性があることが明らかにされた。
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[Publications] 上野聡樹: "血液眼関門についての研究 第1部 血液-網膜関門構成細胞における機能関連酵素の局在および細胞膜表面荷電のbarrier機構関与について" 日本眼科学会雑誌. 92. 1913-1960 (1988)
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[Publications] 上野聡樹: "血液眼関門についての研究 第2部 Muller細胞組織化学のbarrier研究への応用と単離された網膜色素上皮細胞の形態的・機能的細胞極性の研究" 日本眼科学会雑誌. 92. 1961-2014 (1988)
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[Publications] 上野聡樹、平田昭、石郷岡均、北岡孝: "脈絡膜毛細血管における新たなbarrier機構の存在-網膜下新生血管におけるその変化の展望-" 眼科紀要. 40. 577-586 (1989)
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[Publications] Satoki Ueno: "Histo-and Cytochemical demonstration of cyclic nucleotide-phosphodiesterase activity in the rat outer retina." Advances in Second Messenger and Phosphoprotein Research.