1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63480395
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
猪俣 孟 九州大学, 医学部, 教授 (30038674)
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Keywords | 緑内障 / 落屑緑内障 / 落屑症候群 / マイクロフィブリル / 毛様体小帯 / 水晶体偏位 / 皮膚 / 加齢 |
Research Abstract |
1 落屑症候群患者における毛様体小帯の形態変化に関する研究 落屑緑内症患者ではしばしば水晶体偏位が起こる。これは毛様体小帯がマイクロフィブリルによって構成されているので、落屑症候群患者ではマイクロフィブリルが変性して、毛様体小帯の自然断裂が起こるためであると考えられる。 そこで、水晶体偏位を伴った落屑緑内障患者から水晶体摘出手術時に得られた水晶体および毛様体小帯の形態変化を電子顕微鏡で観察した。 その結果、毛様体小帯線維が正常構造から徐々に変性し、落屑物質の出現に至るまでの一連の経過を観察することができた。このことは、毛様体小帯の変性が落屑物質形成の一因であることを示している。 2 落屑緑内障患者皮膚病変の研究 落屑症候群患者では高頻度に緑内障を発症する。われわれは先に、落屑緑内障患者の結膜では、落屑物質はマイクロフィブリルの形態変化によって生じることを報告した。マイクロフィブリルは全身のどこの組織にも存在し、その基本構造は同じであるので、皮下組織におけるマイクロフィブリルにも結膜にみられたものと同様の形態変化が生じている可能性が考えられる。そこで、落屑緑内障患者皮膚における落屑物質の出現の有無について調べた。 その結果、落屑症候群患者9例中3例に、皮膚真皮中に落屑物質と思われる線維成分の集塊を認めた。これに対して、落屑症候群患者の他の6例および対照群の皮膚では、マイクロフィブリルや未熟な落屑物質は認められたが、典型的な落屑物質は認めなかった。このことから、落屑症候群は眼だけの疾患ではなく、全身的疾患である可能性が示唆された。 上記の結果を踏まえて、今後、加齢と落屑症候群、加齢と毛様体小帯や皮膚の形態変化との関係を調べ、落屑緑内障の病因を明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Chijiiwa T.: Opthalmologica. 198. (1989)
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[Publications] 杉野拓平: 日本眼科学会会誌. 93. (1989)
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[Publications] 千々岩妙子: 日本眼科学会会誌. 93. (1989)
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[Publications] 猪俣孟: "図説救急医学講座" メジカルビュー社, (1989)